目次
敬語には、どんな種類がある?
敬語には主に以下の3つがあります。
①:尊敬語 動作する人への敬意(目上の人に使う。相手を立てるときに使う。
②:謙譲語 動作される人への敬意(自分をへりくだるときに使う。自分がへりくだることで、相手を立てる。
③:丁寧語 聞き手に対して丁寧に述べる言葉
古文の敬語一覧
【尊敬語】
・補助動詞(お~になる、~なさる) ~給ふ(四段活用)
・いらっしゃる・おいでになる おはす・おはします・います・ます
まします・いまそかり・いでます
・聞く きこす・きこしめす
・言ふ のたまふ・のたまはす・仰す
・見る ごらんず・みそなはす
・思う おぼしめす・おもほしめす・おぼす・おもほす
・来る おはす・おはします・います
・行く いでます
・与える 給ふ(賜ふ)(四段活用)給ぶ(賜ぶ)
・授ける くださる
・着る 召す・奉る・をす
・食べる きこしめす・召す・参る・奉る
・飲む をす
・乗る 召す・奉る
・治める しろしめす・しらしめす・をす
・呼ぶ 召す
・知る しろしめす・しらしめす
・寝る 大殿籠る
・する あそばす
⇒尊敬語になる「奉る」「参る」に気をつけよう!
【謙譲語】
・補助動詞(お~申し上げる、~してさしあげる) 奉る・申す・聞こゆ・参らす
つかうまつる・給ふ(下二段活用)
・(偉い人の)側に控える 侍り・候ふ
・(偉い人)に仕える つかうまつる・つかまつる・侍り・候ふ
・聞く 承る
・言う 申す・聞こゆ・聞こえさす・奏す(天皇・上皇に)・啓す(皇后・皇子に)
・うかがう・参る・参上する 参る・もうづ・まかづ・まかる
・退出する まかづ・まかる
・差し上げる・献上する 参らす・参る・奉る・まつる
・いただく 給はる(賜はる)・給ふ(賜ふ)(下二段活用)・承る
・してさしあげる・いたす つかうまつる・つかまつる・参る
【最高敬語】
例
・~させ給ふ 「(天皇などが)~なさる」 尊敬の助動詞+尊敬の補助動詞
文脈によっては「させ」が使役の助動詞の可能性もあるので注意!(その場合は、「させなさる」は最高敬語ではない)
【丁寧語】
・~です、~ます、~ございます 侍り・候ふの2つのみ
*補助動詞「給ふ」について
・四段活用(ほとんどの場合)
「は・ひ・ふ・ふ・へ・へ」⇒尊敬語
・下二段活用(会話文・手紙文で、稀に)
「へ・へ・ふ・ふる・ふれ・〇」⇒謙譲語
敬意の方向に注意!
地の文
尊敬語:動作をする人への敬意
作者から⇒謙譲語:動作をされる人への敬意
丁寧語:読者への敬意
会話文
尊敬語:動作をする人への敬意
話者から⇒謙譲語:動作をされる人への敬意
丁寧語:聞く人への敬意
敬語の単語を覚えただけでは意味はない!
「古文敬語」の学習として、まず敬語の種類を覚えなくてはいけません。
ただし、「これは尊敬語、これは謙譲語、、、」というように敬語をただ覚えるだけでは意味はありません。
実際の文章では、発言している人物から「誰に向けての敬語なのか?」を特定するといったことや、逆に、使われている敬語をもとに「発言をしている人物」を特定するなどの作業が求められています。
「奏す」「啓す」など特定の人物に使われる敬語(「奏す」は天皇・上皇にのみ使われる謙譲語、「啓す」は皇后・皇子にのみ使われる謙譲語)などの場合は、発言者や動作の対象者を特定しやすいですが、「給ふ」のような尊敬語にも謙譲語にもなる敬語だと、誰から誰に向けての敬語なのか?が特定しにくいわけです。
そこでどうしたらよいのか?問題文の話の内容、つまり文脈を理解していないといけません。
例文
「何ごとぞや。童べと腹だちたまへるか」とて、尼君の見上げたるに、すこしおぼえたるところあれば、子なめりと見たまふ。「雀の子を犬君が逃しつる。伏籠の中に籠めたりつるものを」とて、いと口惜しと思へり。(「源氏物語」)
お経を読んでいた尼さんが、走りこんで来た女の子を見上げて、「どうしたの。童たちとケンカでもなさったのか」と尋ねる場面です。女の子が突っ立っているから、お経を読んでいた顔をふっと上げた。すると光源氏から尼さんの顔が見えたんです。
つまり、この「たまふ」は、作者紫式部から光源氏への尊敬語です。
そのため、物語のストーリー=文脈を理解する必要があるのです。
最後に
「古文敬語」の学習では、まず敬語の種類を覚え、「枕草子」「源氏物語」など敬語がよく出てくる平安時代の作品に多くふれ、登場人物の把握と、ストーリーも頭に入れる学習をするとよいと思います。
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こちらの記事の監修者
浅井保(あさい たもつ)
- ・北海道大学文学部卒
- ・家庭教師のアルファ 講師部長
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始し、数多くの生徒への学習指導を経験。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長。