目次
年齢算の考え方
年齢算とは読んで字の如く「人の年齢」についての問題です。つまり、1年経てば1才、2年経てば2才年を取るということになります。
□年後という事があれば、逆に□年前という事もあります。その場合は現在の年齢から□才を引いてあげればいいですよね。
< 過去 → 現在 → 未来 >の時間軸を意識する事が大事になってきます。
また、複数人の年齢の和や差を問われるパターンもあります。
和と言うのは足し算の答えであり、差と言うのは引き算の答えです。忘れていた人はここで思い出して下さい。
例えば、家族であれば父、母、兄、弟の4人であったりしますよね?
父の年齢が42才で、母の年齢が41才。
父と母の年齢の和は < 42 + 41 = 83 >で83才という感じです。
もし兄の年齢が16才であれば、父と兄の年齢の差は< 42 – 16 = 26 >で26才となります。
正直、年齢算の基本はこんな感じです。
「なんだ、簡単じゃないか・・。」そう、簡単です。特に不思議な事は言っていません。しかし、この普通な現象を不思議な問題にしたのが年齢算なのです。
そして、年齢算を解くために必要な要素は次の3つになるでしょう。
①過去、現在、未来の時間軸
②和と差について
③比の知識
これらが必須となります。特に比の知識ですかね。
比の基本はそれ用の問題で練習するのが効果的です。ある程度できるようになったら比を使う特殊算に挑戦するぐらいで良いです。
長くなってしまいましたが、早速問題に参りましょう!
何年経っても差は変わらない?
■問題1
「現在父は40才、子供10才です。何年後に父の年齢が子供の年齢の3倍になるでしょうか?」
この問題の式と答えは以下のようになります。
[式] <30 ÷ 2 = 15 > < 15 – 10 = 5 >
[答え]5年後
まず、現在の年齢差を出してみましょう。
< 40 – 10 = 30 >で30才差となります。そして、大事なのはここからです。
それは、「何年経っても2人の年の差は変わらない」という事です。
お互い1年に1才ずつ年を取り続けます。その中でも2人の年齢差はずっと30才のままなのです。
現在では、父と子供の年齢比は④:①で差が③であり、何年後かに年齢比が③:①で差が②に変わります。
この差の比はどちらも30才ですから、何年後かの差の比②は30才にあたります。したがって何年後かの子供の年齢は①=15才となるのです。
現在10才ですから5年後という事ですね。その時のお父さんは45才といったところでしょうか。
さてさて、次の問題にいってみましょう。
お父さんは今何才?
■問題2
「現在、父と子供の年齢の和は40才である。4年後に父の年齢は子供の年齢の5倍になりました。現在の父の年齢はいくつでしょうか?」
この問題の式はどうなるでしょうか。少し考えてみましょう。
以下にその答えを載せておきます。
[式]< 48 ÷ 6 = 8 >< 8 × 5 = 40 >< 40 – 4 = 36 >
[答え]36才
4年後の父と子供の年齢の和を考えてみましょう!
2人とも同じく4才年を取ったはずですね。つまり、4年後の2人の年齢の和は8才増えている事になります。
父の年齢は子供の5倍ですから、年齢比は⑤:①で、比の合計は⑥です。したがって<48 ÷ 6 = 8 >で①あたり8才という事ですね。
そこからは比①あたりの値を当てはめて、年齢をそれぞれ出していきましょう。
この問題のポイントは何年後かの年齢の和を正しく導き出す事です。ここさえ間違えなければ大丈夫でしょう!
・・・少し深呼吸しまして、次にいきましょう!
昔むかし、何年前?
■問題3
「現在、子供は8才で父はその4倍の年齢です。父の年齢が子供の9倍だったのは何年前でしょう?」
この問題は少し難しいでしょうか。でも、今までやってきたことを思い出せば解けるはずです。
式と答えは、次のようになります。
[式]< 32 – 8 = 24 >< 24 ÷ 8 = 3 >< 3 × 9 = 27 >< 32 – 27 = 5 >
[答え]5年前
ポイントは「最初の問題を思い出そう!」ですね。何でしたっけ・・?
・・思い出せましたか?
そうです。何年経とうが2人の年齢の差は変わらない。そこに注目して解く問題ですね。
年齢の差は24才。そして何年か前では父と子供の年齢比は⑨:①ですから、差の比は⑧となります。この⑧が24才に当たるので、①あたり3才。
父の年齢比は⑨ですから、何年か前の父の年齢は27才ということですね。つまり、5年前となります。
お父さんが20代・・・。若々しいですね(笑)
さて、そろそろ新しいジャンルに参ります。
どうなるでしょうか・・?
きっとそこまで新鮮味はありません。(笑)
普通にやっていきましょう。
親に追いつけ子供達!
■問題4
「現在、父は32才で長男は5才、次男と三男は合わせて3才です。
子供達3人の年齢の和が父の年齢に追いつくのは何年後でしょう?」
さて、問題が複雑になってきましたね。でも、落ち着いて一つずつ考えていけば絶対に解けます。
この問題の解き方は以下になります。
[式]< 32 – 8 = 24 >< 24 ÷ 2 = 12 >
[答え]12年後
人数が2人じゃ無くなった!!
急に増えましたね。すみません。しかし、心配することはありません。1つずつ見ていきましょう。
現在の子供達の年齢の和は8才です。父は32才。1年後には父も子供達もそれぞれ1才ずつ年を取ります。
・・そう。1才ずつですから、子供達の年齢の和は1年で3才増えるのです。つまり、1年経つと年齢の差が2才ずつ縮まっていくのですね。
なので< 24 ÷ 2 = 12 >となる訳です。
この考え方は差集め算ですね。中受算数は色々な特殊算がありますが、この問題のように複数の特殊算が合わさる問題が多くあります。
ですので、どの特殊算も基本的な部分はしっかり押さえておきましょう。
さてさて、次が最後の問題となります。
どんな問題なのでしょうか・・・?
比から年齢を出そう!
■問題5
「現在、母の年齢は娘の年齢の5倍です。8年後には母の年齢は娘の年齢の3倍になります。
現在の母の年齢はいくつでしょう?」
この問題はどう解けばよいでしょうか。今までの問題とは少し、解き方のポイントが違います。
では、その式と答えを見てみましょう。
[式]< 3 × 2 = 6 >< 6 – 5 = 1 >< 8 × 5 = 40 >
[答え]40才
式を見てもよく分からない・・。
恐らくそうだと思います。これは差を一定にした連比式に直す必要があります。
先に述べたように、人数が2人ですから年齢の差は何年経っても変わりません。この事を利用し、現在と8年後の年齢比をそろえてみます。
「現在」 「8年後」
(母) (娘) (差) (母) (娘)
⑤:① ④
❷ ❸:❶
⑤:① ④ ⑥:②
少し見にくいかもしれません・・。
この形の式を連比式と言います。差が同じなので、比をそろえるために8年後の比を全て2倍してあります。
この式から、8年経つと母の年齢比が⑤→⑥へと①増えている事が分かります。実際増えた数は8才ですから、①あたり8才と分かります。
・・・そう、分かってしまうのです。全く年齢が分からなくとも年齢比と、経過年数さえあれば年齢を求める事ができるのです。なんて事でしょう・・。比って便利ですね。
裏を返せば、比は正直難しい知識です。中受算数を制するには比が必要不可欠ですので、じっくり1つずつ学んでいって下さい。その際は、比の知識だけの問題を繰り返し練習すると良いでしょう。何事も基本が大事なのです。
年齢算まとめ
いかがだったでしょうか?
ある程度中受算数を見慣れている方には、正直簡単だったと思います。
ですが、年齢算の基本は上記の問題なのです。
基本ではなく、入試レベルのような応用問題が難しくなる原因には以下の点があります。ざっと並べますと・・・。
①問題文の言い回しがややこしい
②途中計算で分数をやたら挟んでくる
③誤答に導こうとする引っかけがある
・・・なんだか嫌になりますね。(笑)
試験というのは点数で差別化を図る訳ですから、そういったある種のトラップを上手くかわす能力を求められるのでしょう。
さて、どうしたらトラップをかわせるのか・・?
もちろん大事なポイントがありますよ!それも3つ挙げてみましょう。
①練習で問題文を書き写す
②どの科目でも音読の練習をする
③問題の数をこなす
個人的ではありますが、この3つが大事だと感じます。
問題文を書き写す。これは「時間がかかるよぅ・・」「なんか面倒だなぁ。」なんて思うかもしれません。
いやいや、間違えて何回もやり直す方が時間がかかるかもしれませんよ?(笑)
算数の問題を解く際の大事なポイントとして、「出題者が何を求めているのかを考える」という点があります。問題文を書き写すのは、この点を見極めるのに大変有効です。
音読の練習も同様です。実際に目で追えて、正しい区切り方で発音できなければ問題文の正確な情報処理は難しいでしょう。
それらを踏まえた上で、やはり問題の数をこなす事が大事です。数はこなしますが、ただ多ければいい訳ではありません。それはむしろ逆効果で、やってもやっても安定してできる問題が増えず、疲労が溜まる一方です。
初めは1日1問でも良いのです。極端かもしれませんが、その方が力のつく近道だったりするのです。何より、安定してできるようになると自信が付きます。
勉強は短距離走ではなく、長距離走です。受験までモチベーションを長く保たなければなりませんから、ゆっくり確実にこなしていって下さい。
おわりに
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こちらの記事の監修者
浅井保(あさい たもつ)
- ・北海道大学文学部卒
- ・家庭教師のアルファ 講師部長
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始し、数多くの生徒への学習指導を経験。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長。