目次
1.『夏の庭 The Friends』
1つめにオススメする本は、湯本香樹実著『夏の庭 The Friends』です。
小学6年生の3人の少年たちが、「人が死ぬところが見たい」という好奇心から近所の一人住まいの老人を観察し出しますが、いつしかその老人との交流が始まり……
老人には戦争に関わる思いがあり、そこを掘り下げることもできますが、やはり3人の子どもたちがどう成長していくかを追いかけることになるのではないでしょうか。
2.『西の魔女が死んだ』
2つめにオススメする本は、梨木香歩著『西の魔女が死んだ』です。
まいは中学校に入学してすぐ不登校になってしまい、1か月ほど、おばあちゃんの元で暮らします。そこで、まいは「魔女」になるための修行をすることに……
修行は、「何でも自分で決める」こと。ファンタジーではありません。おばあちゃんのまいへの想いと、それを受け取るまいの想いを感じられればと思います。
3.『島はぼくらと』
3つめにオススメする本は、辻村深月著、『島はぼくら』とです。
瀬戸内海に浮かぶ島で育った男女4人の同級生。島には高校がないため、フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出ることになるはず……
高校のない小さな島で暮らした経験はなくとも、男子2人女子2人、誰かに感情を寄せて読めるのではないでしょうか。
4.『夜のピクニック』
4つめにオススメする本は、恩田陸著『夜のピクニック』です。
全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという伝統行事「歩行祭」。貴子はある秘密を清算するという密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭に……
大きな事件がないまま、家族、恋愛、友情の様々なエピソードが重なり、感想文を書くポイントを見つけづらいかもしれません。でも、間違いなく、いい小説です。
5.『天地明察』
5つめにオススメする本は、冲方丁著、『天地明察』です。
星の観測と算術を愛する安井算哲(後の渋川春海)は、会津藩主・保科正之(徳川家康の孫)から、新しい暦を作るという依頼をされる……
渋川春海、関孝和(江戸時代の数学者)などは、高校の日本史の教科書には出てくる名前です。歴史小説になりますが、登場人物たちの生き方に学ぶところは多いはずです。
まとめ
『夏の庭』『西の魔女が死んだ』は、それぞれ主人公が小学生、中学生なので、読みやすいと思います。
『島はぼくらと』『夜のピクニック』は高校生が主人公なので、少し背伸びをしなければならないかもしれません。
『天地明察』は、歴史に興味がないとハードルが高いと感じてしまうでしょう。
本だけが新しい世界を教えてくれるわけではありませんが、本も新しい世界を見せてくれます。「読書感想文を書く」という枠に捕らわれず、本の持つ豊かな世界に触れてほしいと思います。
おわりに
筆者は高校1年の国語の授業で、芥川龍之介の「羅生門」で感想文を求められました。
冒頭、「私の名は羅生門。」で始め、門が下人(げにん)を観察するという体裁で書いたことを覚えています。
こんなトリッキーな書き方はお薦めしませんが、工夫して文章を書くのは、楽しいものです。