動詞の活用について|中学生/国語

勉強コラム

口語動詞の活用には、五段活用以外には、上一段活用・下一段活用・カ行変格活用(カ変)・サ行変格活用(サ変)があります。
この記事では、五段活用以外のそれぞれについて説明を行います。

目次

動詞の活用とは?

例えば、「食べる」という動詞があります。

この「食べる」は、文章や会話で使う場合、いつも「食べる」ではなく、次に続く言葉によって形が変わります。
例えば、「食べない」とか、「食べろ」などのような形です。

このことを活用といいます。
そして、活用の形は、
・未然形
・連用形
・終止形
・連体形
・仮定形
・命令形

と全部で6種類あります。

活用形について

まず、最初にくるのが「未然形」です。
簡単にいうと、「未然形」は、「―ない」に続く形です。
先ほど挙げた「食べる」という動詞を例に考えてみましょう。
「―ない」に続く形といえば、「食べない」となりますから、「食べ」が「未然形」となるわけです。

次に、「連用形」について。「連用形」は、「―ます」に続く形です。
「食べる」の動詞を使って考えると、「食べます」となりますから、「連用形」は、「食べ」になります。

それから次は、「終止形」です。「終止形」は、言い切りの形、文末にくる表現です。
「―。」に続く形ですから、「食べる。」です。「食べる」が「終止形」です。

次は、「連体形」です。「連体形」は、「―時」に続く形です。
「食べる」の動詞を使って考えると、「食べる時」となりますから、「連体形」は、「食べる」になります。

次は、「仮定形」です。「仮定形」は、「もしーば」に続く形です。
「食べる」の動詞を使って考えると、「もし食べれば」となりますので、「食べれ」が「仮定形」です。

最後の「命令形」についてです。「命令形」は、何かの言葉に続く形で考えるのではなく、文字通り命令する言い方です。
「食べる」の動詞で考えると、「食べろ」ですよね。これが「命令形」です。

上一段活用について

上一段活用の上一段とは、(ア)・(イ)・(ウ)・(エ)・(オ)の真ん中(ウ)から見て、一段上ということです。
この上一段、つまり(イ)で常に活用が行われるのです。
見分け方として、動詞に「ない」を付け、その直前の音をのばすと、「イ」になるものが上一段活用と覚えておけば大丈夫です。
例えば、「起きる」に「ない」を付けると、「起きない」となり、起き(→イ)ないのように「ない」の直前の音がイ段の音になります。

では、上一段活用の動詞である「着る」で考えてみましょう。

「着る」の「未然形」は、「―ない」に続く形ですから、「着ない」になります。
「キィ(ki)ない」ですので、(イ)の段ですよね。

次に「連用形」は、「―ます」に続く形ですから、「着ます」になります。
「キィ(ki)ます」ですから、これも(イ)の段ですよね。

そして次は、「終止形」で、言い切りの形、文末表現、「―。」に続く形ですから、「着る。」です。
「キィ(ki)る」ですから、やはり(イ)の段です。

次の「連体形」は、「―時」に続く形です。これは、「着る時」となりますから、「連体形」は、「着る」です。
「終止形」と同じ形になり、「キィ(ki)る」ですから(イ)の段で活用しています。

次は、「仮定形」です。「仮定形」は、「もし―ば」におさまる形です。
これに「着る」を当てはめてみると、「もし着れば」となり、「着れ」が「仮定形」で、「キィ(ki)れ」ですから、これも(イ)の段です。

最後の「命令形」は、「着ろ」ですから、「キィ(ki)ろ」で、(イ)の段で活用です。

「起きる」の場合は?
では別の動詞として、「起きる」の活用形を見てみましょう。
・未然形:起きナイ、起きヨウ
・連用形:起きマス
・終止形:起きる
・連体形:起きるトキ
・仮定形:起きれバ
・命令形:起きろ
「起きる」の活用語尾(動詞が活用するときに、変化する部分のこと)が「き、き、きる、きる、きれ、きろ」と全てに「き」が入っていて、イ段の音を中心に変化しています。

■その他の上一段活用の動詞
・「見る」…見(→イ)ナイ
・「似る」…似(→イ)ナイ
・「試みる」…試み(→イ)ナイ
などがあります。

このように、全ての活用形が(イ)の段で活用しているのが上一段活用動詞なのです。

下一段活用動詞について

下一段活用の下一段とは、(ア)・(イ)・(ウ)・(エ)・(オ)の真ん中(ウ)から見て、一段下ということです。
この下一段、つまり、(エ)で常に活用が行われるのです。
見分け方としては、動詞に「ない」を付け、直前の音をのばすと、「エ」になるものが下一段活用と覚えておきましょう。
例えば、「食べる」に「ない」を付けると、「食べない」となり、食べ(→エ)ないのように「ない」の直前の音がエ段の音になります。

では、下一段活用の動詞である「寝る」で考えてみましょう。

「寝る」の「未然形」は、「―ない」に続く形ですから、「寝ない」になります。
「ネ(ne)ない」ですので、(エ)の段です。

次に「連用形」は、「―ます」に続く形ですから、「寝ます」になります。
「ネ(ne)ます)ですので、(エ)の段です。

次に、「終止形」は、言い切りの形、文末にくる表現の形ですね。「―。」に続く形ですから、「寝る。」です。
「ネ(ne)る」ですから、やはり、(エ)の段です。

次の「連体形」は、「―時」に続く形です。これは、「寝る時」となりますから、「連体形」は、「寝る」です。
「終止形」と同じ形になり、「ネ(ne)る」ですから、(エ)の段で活用しています。

次は、「仮定形」です。「仮定形」は、「もしーば」におさまる形です。
これに「寝る」を当てはめてみると、「もし寝れば」となり、「寝れ」が「仮定形」で、「ネ(ne)れ」ですから、これも(エ)の段です。

最後の「命令形」は、「寝ろ」ですから、「ネ(ne)ろ」で、(エ)の段で活用です。

「食べる」の場合は?
「食べる」の活用形をみてみると、
・未然形:食べナイ、食べヨウ
・連用形:食べマス
・終止形:食べる
・連体形:食べるトキ
・仮定形:食べれバ
・命令形:食べろ
「食べる」の活用語尾(動詞が活用するときに、変化する部分のこと)が「べ、べ、べる、べる、べれ、べろ」と全てに「べ」が入っていて、エ段の音を中心に変化しています。

■その他の下一段活用の動詞
・「得る」…得(→エ)ナイ
・「答える」…答え(→エ)ナイ
・「立てる」…立て(→エ)ナイ
などがあります。

このように、全ての活用形が(エ)の段で活用しているのが下一段活用動詞なのです。

カ行変格活用(カ変)について

カ行変格活用(カ変)と呼ばれる活用のしかたをする動詞は、「来る」の1語しかありません。
そして、このカ行変格活用(カ変)の活用のしかたは、規則的というよりも独特のものであるため、そのまま暗記する方が良いと思います。

まず、「未然形」ですが、「―ない」に続く形ですから、「来ない」となります。
つまり、「来る」の「未然形」は、「来(こ)」となります。

次に、「連用形」です。「連用形」は、「―ます」に続く形ですので、「来ます」です。
つまり、「連用形」は、「来(き)」です。

次に、「終止形」です。「終止形」は、「―。」に続く形で、言い切りの形、文末表現ですので、「来る。」になります。
つまり、「終止形」は、「来る」です。

次に、「連体形」です。「連体形」は、「―時」に続く形です。
そのため、「連体形」は、「来る時」となりますから、「連体形」は、「来る」で、「終止形」と同じ形になります。

次が「仮定形」です。「仮定形」は、「もしーば」に入る形でした。
そのため、「仮定形」は、「もし来れば」となり、「仮定形」は、「来れ」です。

最後の「命令形」は、「来い」になります。

カ行変格活用(カ変)は、「こ・き・くる・くる・くれ・こい」と暗記してしまうことが良いと思われます。

サ行変格活用(サ変)について

サ行変格活用(サ変)をする動詞として、「する」と「する」の複合動詞である「勉強する」や「愛する」「発する」などがあります。
サ行変格活用(サ変)も、前のカ行変格活用(カ変)のように独特な活用のしかたをします。
そのため、やはり、そのまま暗記をするのが良いのではないかと思います。

まず、「未然形」です。
この「未然形」は、サ行変格活用(サ変)の場合、他の活用のしかたと違った大きな特徴があります。3種類あるのです。
「未然形」ですから、他の活用のしかたと同様に、「―ない」に続く形となるのですが、動詞「する」の場合、「しない」となります。
つまり、「未然形」は、「し」になるのです。
しかし、動詞「発する」の場合は、「未然形」は、「―ない」に続くのではなく、「―ず」に続くように考え、「発せず」となり、
つまり、「未然形」は、「せ」になります。

さらに、動詞「愛する」ですが、これは、通常の「未然形」と同じで、「―ない」に続くのですが、「愛さない」となります。
つまり「未然形」は、「さ」となります。
よって、サ行変格活用(サ変)では、「未然形」は、「さ」「し」「せ」と3つもあることが他の活用のしかたと大きく異なります。

あとの活用形は、他の活用のしかたと同じで、1つずつです。
そこで、動詞「する」で考えていくことにします。

「連用形」は、「―ます」に続く形ですから、「します」となりますので、「連用形」は、「し」です。

次に、「終止形」は、「―。」に続く形、言い切りの形、文末表現ですから、「する。」となり、「終止形」は、「する」です。

次に「連体形」ですが、「-時」に続く形ですので、「する時」となりますから、「連体形」は、「する」になります。

次に、「仮定形」ですが、「仮定形」は、「もしーば」に当てはまる形ですので、「もしすれば」となりますから、「仮定形」は、「すれ」になります。

最後の「命令形」ですが、「しろ」になります。サ行変格活用(サ変)も「さしせ・し・する・する・すれ・しろ」と暗記してしまうことが良いと思われます。

最後に

以上、動詞の活用(上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用)を説明させて頂きました。
これらは、それぞれの特徴をしっかり理解してしまえば、決して難しいものではないはずです。それぞれの特徴をおさえてから、具体的な動詞で実際に自分で活用させて練習してみることで、理解を完全なものにして頂きたいと思います。