目次
だれが「召し上がる」の?
まず、食べる(または飲む)という意味の「召し上がる」という言葉を使った下の文を読み比べてみて下さい。
①王様がごちそうを召し上がる。
②僕の妹がケーキを召し上がる。
①は正しい使い方で、②は間違った使い方とされています。
ポイントは、「召し上がる(=食べる)人はだれか」ということです。
①では「王様」
②では「僕の妹」
が「召し上がる人」ですね。
「召し上がる」という言葉は、目上の人が食べる場合にしか使わないのです。
この目上の人というのは、
◎ 位や立場が上の人
◎ 年上の人
◎ お客さん
◎ 初めて会ったりあまり親しくない人
などです。
≪簡単に言うと、「失礼があってはいけない人」のこと!≫
そういう人が「食べる」ときに「召し上がる」を使ってくださいね。
このように、「失礼があってはいけない人=目上の人=尊敬すべき人」の行動や持ち物に対して使う敬語を「尊敬語」といいます。
≪「相手を尊敬する」とおぼえましょう!≫
「尊敬語」を使うとその人が持ち上げられてえらくなる、そんなイメージを持つと分かりやすいですよ。
目上ならだれでも「召し上がる」の?
では次の場合はどうでしょうか。
③僕の父がお刺身を召し上がる。
先ほどの内容からすると、「僕の父」は目上だから使ってもよさそうです。
しかし、これは間違い。
実はもう一つのポイント、「だれに伝えるか」ということを踏まえる必要があるからです。
③の文では「僕の父」と書いてあるので、少なくとも「自分の家族以外の人」に伝えようとしていることは想像できますね。
ここで重要なのが、「自分の家族」はえらさ的には自分と同じレベルとしてとらえなければならないということ!
なので、どちらが目上かを比べると
【「自分の家族」 < 「自分の家族以外の人」】
になります。
だから、
えらくもない自分の家族に尊敬語を使うのはおかしい!
となるのです。
このように、伝える相手によってはだれが目上なのかを考える必要もあるんですね。
× 自分の家族だけではなく「自分の仲間」に置き換えられる人に使うとき
× 伝える相手が、「自分の仲間」ではないとき
尊敬語が使えないときは?
ここまで読んだ皆さんは、こう思いますよね。
「③では尊敬語が使えないとは言っても、敬語を使わなきゃいけないのでは…?」
確かにそうです。実は③は次のように表現します。
④僕の父がお刺身を"いただく"。
このように、「自分の仲間」の行動や持ち物に対して使う敬語を「謙譲語(けんじょうご)」といいます。「食べる」の謙譲語は、「いただく」です。
謙虚(けんきょ)な気持ちをもって相手に譲る(ゆずる)気持ちで、自分(や仲間)が行動する表現に使うから「謙譲語」です。
「自分は謙虚に譲る」と覚えましょう。
「謙譲語」を使うとその人のえらさがなくなる分、別の人のえらさが上がる、そんなイメージを持つと分かりやすいですよ。
まとめ ~人間関係を意識しよう~
敬語の知識はとても大事です。でもその前に、なぜ敬語を使うのかを考えることの方が大事です。
この場で一番目上の人は誰?
相手を立てるにはどうしたらいい?
「相手を尊敬し、自分は謙虚に譲る」
ということを意識すると、敬語は上達しますよ。
よく日本は治安がいいとか、礼儀正しい人が多いとか言われますね。
相手に失礼のないようにする心がけがほかの国の人たちよりも強いのでしょう。その根底には、「敬語」があるのではないでしょうか?
ぜひあなたも、かっこよく敬語を使いこなしになられる「素敵なお方」におなりくださいませ!
(勉強を頑張っていらっしゃるあなたへの敬意が止まらず敬語がつい過剰に・・・!)
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こちらの記事の監修者
浅井保(あさい たもつ)
- ・北海道大学文学部卒
- ・家庭教師のアルファ 講師部長
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始し、数多くの生徒への学習指導を経験。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長。