ことわざの覚え方

ことわざって、なかなか覚えられませんよね。参考書などの一覧表には、一度にたくさん並んでいて、ワーこれ、覚えるの無理!という気持ちになってしまいますよね。また、ことわざというのは、受験では、出題されないこともないのですが、それほど重要視されているわけでもないので、学校ではあまり学習しないものですよね。だから、それほど必死になって覚えることもあまりないため、いつまでも覚えないのかもしれません。

目次

ことわざとは?

ことわざとは何でしょうか?辞書を引きますと、鋭い風刺や教訓・知識などを含んだ、世代から世代への言い伝えられてきた簡潔な言葉のことであるとあります。
意味のない無駄なものが世代から世代へと言い伝えられるでしょうか?そんな事ないですよね。そこには、何か、生きていくうえで大切なものがあるように思いませんか。

自分の気になったことわざからよく調べてみるのはいかがですか?

ことわざの一覧表を見て、自分が気になったものからよく調べてみるというのは、ことわざの学習をするうえで、よい方法だと思います。自分の関心・興味を優先させるのです。
人間、関心のわかないものに対しては、とっつき難いものですよね。逆に、ボンヤリ眺めていて、これってどんな意味だろうと思ったものは、興味がありますし、どうしてこんな言葉が出来たんだろうとか思うものです。
ここで、私自身、ことわざ辞典を見て、気になったものを挙げさせて頂きます。

【明日は明日の風が吹く】
 明日になれば、今日と様子が変わるから、心配してクヨクヨするなという意味です。
落ち込んだ時の慰めに使われることわざですが、逆に、よいことがあって、浮かれているような時の戒めにも使っていいのではないかとも思います。
よいことがあっても、あまり調子に乗ってしまうと、後でガタッとくるものですよね。そういった使い方もアリと思います。

【あちら立てればこちらが立たぬ】
一方にいいようにすれば、もう一方に悪くなってしまう。どちらにも都合のいいようにするのは難しいということという意味です。
普段生活していく中で、人づきあいというものがあり、円満な人間関係を築くのは人生を豊かにするための非常に重要な要素だと思います。そのためには、いつも相手方を立ててさえおけばいいんだという単純なやり方はどうなんだろうと思いませんか?相手方もいつもすいませんねと悪い気になってしまうかもしれません。
あちらを立てたり、こちらをたててもらったりといったことがうまく機能するのが良好な関係を維持するヒケツとなってくるんじゃないかと思うんです。自分ばかり主張するのはもちろんダメですね。

【つめのあかをせんじて飲む】
 優れた人のよいところに、少しでもあやかるようにするというたとえです。
「つめのあか」は、ごくわずかなもの、とるにたらないもののたとえ。優れた人のつめのあかをもらって、薬をせんじるようにしてそれを煮てのむという意味からきています。
有名なプロ野球選手が毎日素振りを欠かさないと聞けば、自分も毎日素振りをして、今度の試合ではホームランを打とうとか、東大に合格した人は、この参考書を使っていたと聞けば、早速本屋さんで購入するといったことはまさにこのことだと思うんです。
真似といってしまえばそれまでかもしれませんが、そういった向上心は大事なものですし、そこまで単純な行動をとるかどうかは別として、自分の成長を思うことは重要だと思います。

誤解されていることわざをご存じですか

ところで、ことわざの中には、誤解されて広まっているものがあるのをご存じですか?ここでは、そのいくつかを挙げておきたいと思います。

【情けは人のためならず】
 このことわざの意味について、私は、かなり年を取るまで誤解していた者の一人です。みなさんの中にも、自分が困っていて、人の助けが欲しい時などに、このことわざ「情けは人のためならず」と言われただけで、何も助けてもらえなかったという経験をされた方はたくさんいらっしゃるんじゃないでしょうか?
しかし、このことわざの意味は、それとはまるで逆の意味で、人に親切にすれば、その親切は人のためばかりでなく、自分にもよい報いとなってもどってくるものだという教えなんですね。他にも誤解されていることわざは、

【かわいい子には旅をさせよ】
 このことわざは、現代においてはかなり誤解が生じてしまっている感じです。
本来は、大事な子供だからこそ、手元に置いて甘やかすのではなく、旅をさせて厳しい経験を積ませるべきだという意味です。
しかし、最近では、旅行をすることは昔ほど困難でなくなったこともあり、高級ホテルに宿泊し、レジャー施設とレストランをまわって、ぜいたくなおみやげを爆買いするというようなことは、むしろ甘やかしではないかとなりました。ホントに世の中変わってしまいました。

ここであらためてことわざとは?

ことわざというのは教訓といっても数学や物理の法則と違って、それを暗記して、それを実践すれば答えが出るといったものではないですよね。
また、教訓といっても、なんだか矛盾も含んだ類のものだと思うんです。
例えば、「君子危うきに近寄らず」ということわざがあります。人柄や行いが立派な人は、注意深いので、危ないところにははじめから近づかないという意味です。このことわざを見聞きしていると、誰だって慎重に行動し、保守・保身になるものです。
一方、これと全く逆のことを言っていることわざもあります。例えば、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」です。危険なことをやる勇気がなければ、大きな手柄を立てることが出来ない。自分の安全ばかりを考えていたのでは、目的を達することはできないという例えです。
他にも、逆の意味のことわざを挙げます。「下手の横好き」ということわざがあります。下手なくせに、そのことが大変好きで、熱心であることです。それと反対に「好きこそ物の上手なれ」ということわざもあります。ものごとを学ぶときに、そのことが好きであれば、おもしろくて熱心にやるので、いつの間にか上手になるものであるという意味です。

ことわざ評論

最後に気になったことわざについて、言いたい放題に評論家を気取ってみようと思います。
「能あるタカは爪を隠す」ということわざを知って、自分の得意なかけっこで全力を出さずわざと負けて、自分は能あるタカだと自己満足に浸る。これって、なんか変ですよね。変だけど、こういう経験って、結構あると思うんです。ホントにことわざっておもしろいですね。
みなさんも、午後のティータイムにでもあらためてことわざについてお考えください。そうすれば、ことわざに対する興味が深くなって、覚えようとする気持ちがわいてくるんじゃないかと思います。

おわりに

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こちらの記事の監修者

浅井保(あさい たもつ)

  • ・北海道大学文学部卒
  • ・家庭教師のアルファ 講師部長

2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始し、数多くの生徒への学習指導を経験。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長。