敬語の罠|全学年/国語

勉強方法

日本語の「敬語」は世界の他の言語に類を見ることが出来ない、複雑で洗礼されたものです。
我々日本人が世界に誇るべき“文化”と言っても良いかもしれません。
それだけに使いこなすのはなかなか大変です。

敬語は、長い日本語の歴史の中でも常に重要な役割を担ってきました。
世界の言語の中でも、日本語のように複雑で洗礼された敬語がある国は、非常に少ないと言われています。
きちんとした敬語を使わなくてもある程度の敬意の表現はできますが、
今の子供たちは将来、社会人として、色々な人と出会い仕事を一緒にしていくことになります。そのときに、どうしても正しい敬語が必要になってきます。

敬語は何のために使うのでしょうか?
まずは相手に対する尊敬の気持ちを表現するためです。
敬語を使うことでお互いの関係をいい関係にすることもできます。
それだけではなく、
話し手の品位を保つ効果もあるとされています。
言葉の「オ・モ・テ・ナ・シ」
ですね。

目次

敬語を使いこなしてみよう!

さて、その敬語を実際に使いこなすためにはまずその知識が重要となってきます。
最もポイントとなるのは“尊敬語”と“謙譲語”の使い分けです。
よく参考書を見ると、尊敬語は相手を敬う表現、謙譲語は自分がへりくだる表現、と書いてありますが、ちょっとわかりにくい。
尊敬語は相手の動作、謙譲語は自分(側)の動作と覚えておくと良いでしょう。
そこで、みなさんに質問です。今から3つの事例を示します。いずでも敬語の使い方が間違っています。どこがいけないのか?
では、どう言えばよかったのか?をちょっと考えてみてください。

[事例1]
「先生が先日申されたお話に大変感激致しました。」

[事例2]
「先生が先日召し上がられた料理は、私の母の手作りでございます。」

[事例3]
あなたは〇〇株式会社の社員です。取引先の△△建設の方から、あなたの上司である山田部長宛てに電話が入りました。山田部長は会議中であり、電話をとったのはあなたです。
「申し訳ございません。部長はただいま席を外しております。戻り次第、折り返しお電話を差し上げます。」

[事例4]
「私が先日お会いになったあの人はすごく親切な人でしたよ。」

[1の答え]
「申された」が間違いです。「申す」は謙譲語で、自分の動作に対して使うべき表現です。
「言った」のは先生ですから、ここでは「おっしゃった」あるいは「話された」と尊敬語を使わなくてはいけません。

[2の答え]
「召し上がられた」が間違いです。「召し上がる」は「食べる」の尊敬語ですから、一見問題ないように思われますが・・・
動作を表す言葉に「れる、られる」をくっつけると、それだけで尊敬語になります。
例えば、「先生が来られた」「先生が言われた」などです。
「召し上がる」自体が尊敬語ですから、これは尊敬語を無駄に重ねた、いわゆる「二重敬語」と呼ばれる表現で、間違った使い方とされています。
よって「召し上がった」で良いのです。

[3の答え]
あなたが言った「部長」が間違いです。
「部長」はかなり地位の高い役職であり、その言葉自体が尊敬語に準ずると言ってもよい。
無論、会社内では「部長」と呼ばなくてはなりませんが、日本では1つの組織(会社)は身内(つまり自分側)とみなします。
よって、外部の人に対応する際には、身内に敬語を使ってはいけません。
このケースでは「山田はただいま~」と偉い人を呼び捨てにしなければなりません。

[4の答え]
うやまった言い方の「お~(に)になる」は、自分自身に対しては使うことはありません。というか使いません。

日常生活で正しい敬語を。

いかがでしたか?
正解出来ましたか?
将来あなたが社会人になったとき、正しい敬語を話せることは絶対に必要です。
普段から大人同士の何気ない会話にアンテナを張ってみてください。
日常生活で勉強することはとても大切です。

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こちらの記事の監修者

 浅井保(あさい たもつ)
・北海道大学文学部卒
・家庭教師のアルファ 講師部長
・山手中央高等学院 学院長

 
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長、および同社の運営する通信制サポート校・山手中央高等学院の学院長を兼務しながら講師として指導にも従事。