算数障害のお子さまとプロ家庭教師の奮闘記

家庭教師について

こちらの記事では、とある算数障害をお持ちのお子さまが『家庭教師のアルファ』の指導を通じて、少しずつ「できた!」を増やし、成長していくエピソードをご紹介しています。
・お子さまの発達が気になる方
・算数障害をお持ちの方
・家庭教師を検討されている方
などは、ぜひ最後までお読みください。

目次

算数障害をお持ちの小学5年生の生徒さん

小学5年生のAさんは、学習(特に算数)に遅れがある生徒さんで、そのような子どもたちが通うサポート塾に通っていました。
5年生進学時、特別学級での通学を希望するかという打診もご両親は受けていらしたようです。
WISC-IVを受検しており、最も低いのはワーキングメモリーでした。他の項目との差はあまり大きくはありませんでしたが、全検査IQは80弱という結果が出ていました。

サポート塾での学習を継続しつつ、もうひとつ異なったアプローチでの学習の場を持ちたいということで、週1回の指導が始まりました。学習は国語と算数の2教科。どちらも3年生の内容からのスタートでした。

まずは自信をつけるところから


 指導が始まりましたが、随所に自信のなさを見て取ることができ、それが悪く作用していることが感じられました。まずは何よりも自信を持ってもらわなければならないと考えました。
 方策として取り入れたのは、漢字の「読み」と、ます計算をがんばるということでした。漢字については、「書くのは苦手だけど、読むのはけっこうやれる」と本人が言っていたため、
「よし、それなら読みの得意度をもっともっと上げちゃおう。書くのは、読みの達人になってからやった方が効果も上がると思うよ」
 このように伝え、モチベーションが高く保てることを目指しました。

かんたんな問題で、苦手意識を取り除く

 実際には、マス計算により力を入れました。計算への苦手意識が算数障害に結びついているようであったためです。
 20マスの足し算・引き算から始めましたが、
・足し算・引き算とも、毎日1回ずつやる(指導のある日だけは、やれたらやる)
・必ず時間を計り、日付とともにそれを記録する
・ほかの勉強はできなくとも、これだけは絶対にやる
という約束を交わし、何よりも重要なことという意識づけを行いました。

 始めた当初は、20マスを埋めるのにほぼ1分かかりました。1つ2つくらい間違えても気にしないという取り組み方であれば、おそらく15秒以上短縮できたと思いますが、『よく確かめながら進めていかないとひどい結果になってしまうに違いない』といった思いと、『間違えたことを見せたくない』というふたつの思いを綯い交ぜに抱いており、そのために余計に時間がかかっているようでした。
 このことは予想の範囲内であり、さらに言えば、むしろその予想が的中することを望んでいました。なんとなれば、開始当初のタイムがよくないほうが、その後の飛躍を実感してもらいやすいためです。

 足し算、引き算ともに6種類の問題を用意し、1週間で1巡するようにしました。調子が出てきたのは3週目です。タイムが一気に20秒台に突入。この週からは指導のある日にも自らやってくれるようになりました(どんどんタイムが短縮できることが嬉しく、励みになったようでした)。
 タイム短縮(を目指す気持ち)には、ある狙いがありました。『集中の実感』です。

『集中の実感』とは


「しっかり集中してやりなさい」
 多くの(おそらくはほとんどの)子どもたちは、何度か、または何度も、このように母親や父親に言われます。しかしながら、ここには具体性が一切ありません。子どもたちにしてみれば、どのようにすれば『集中してやる』ことになるのかがたいへんわかりにくいのです。けれども、毎回のます計算のタイムを計測し、記録していくようにすると、『前回よりも好タイムを出す』意識が自然に生じ、一心に解き進めてくれます。そしてその結果として、『問題を解くときの集中』とはどういうものかを体験し続けられることになります。

Aさんの場合には、「しっかり集中してやりなさい」とは、この時までにそう多く言われてはおらず(お母さまもお父さまも柔らかく接してくださっていたためです)、どちらかといえば、本人が『勉強しても難しいことが多いし、やる気が湧かない』という気持ちになっていたようです。
しかしながら、「タイム短縮」の目標に悦びを見出してくれました。新記録が出るたびに、『やった!』という気持ちになれたためでしょう。

マス計算は、一日の勉強の最初にやるのがいいと、『まずはます計算』という推奨をしていました。記録が上がっていくことを想定してのことです。それ以外の学習も、ます計算の記録が上がり、気分がよくなった状態で取り組んでもらえることを期待していたのです。漢字の読みも、『書き取りは得意じゃないけど、読みの達人になったら、やりやすくなると言われた』ことが良い暗示となったためか、たいへんなハイペースで進んでいきました。

意識を変えることに成功


5週目には、50ます計算へ切り替えることができました。20ますでの、「記録がどんどん更新できた」体験と実感が、勉強に対して後ろ向きであったAさんの中で何かを変容させたように見えました。指導中はほとんど無口であったのが、問題について、「これって、こういうこと?」と、自分から訊いてくれることも増えていきました。
 また、漢字の読みもハイペースで進んだため、ほぼ同時期に3年生内容が終わってしまいました(しかも、定着も充分以上でした)。

Aさん本人の意識を、『50ますで(20ますでできたのように)どんどん記録更新していく』と変えていき、漢字の読みも、『4年生の内容も一気に終えられる』という気持ちが持ってもらえるようにするところに来ました。

ここでも、『ぼくにもできる』という思いからでしょうか、Aさんは素晴らしい結果を見せてくれました。50ますは、足し算引き算ともに(さすがに20ますの時のペースよりは落ちましたが)順調にタイムを縮めてくれましたし、漢字の読みも、2か月ほどで4年生内容をものにし、5年生内容に入ってくれたのです。

「できたを増やす」こと、自信を持ってもらうことの大切さを再認識させられる指導となりました。

おわりに

いかがでしたか?
この記事が算数障害をお持ちの方お悩みの方や、家庭教師を検討されている方やにとって、少しでも参考となりましたら幸いです。

さて、私たち家庭教師のアルファは、「教育を通じて社会のできたを増やす」をミッションとして掲げ、これまで15年以上、35,000人を超えるお子さまの学習をサポートしてまいりました。
その中には不登校でお悩みのお子さまも多く、私たちはその一人ひとりに『プロ家庭教師』ならではの最適な学習サポート・進路相談を行います。
今、教育のことでお困りであれば、まずはアルファにご相談ください。
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こちらの記事の監修者

 浅井保(あさい たもつ)
・北海道大学文学部卒
・家庭教師のアルファ 講師部長
・山手中央高等学院 学院長

 
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長、および同社の運営する通信制サポート校・山手中央高等学院の学院長を兼務しながら講師として指導にも従事。