Chat GPTで読書感想文は書ける?|全学年/国語

勉強コラム

今、世界中で注目を集めているChatGPT。
質問を入力すると、AIが様々な質問に答えてくれることから、非常に便利なツールとして多くの人々が使用しています。
その中には学生も多く、読書感想文等の学校の宿題をChatGPTに書かせる、といったことも起きているようです。

では、読書感想文をChatGPTに任せて本当に大丈夫なのでしょうか?
結論から言うと、ChatGPTに全て書いてもらうことは、あらゆる面から考えて【絶対にNG】です。
ただし、読書感想文を書くうえで、ChatGPTを上手く利用する方法もあります。
この記事では、「読書感想文とChatGPT」について、さまざまな角度から解説していきます。

目次

「丸々お任せ」は自分のために全くならない


まず大前提として、読書感想文をChatGPTに全て書いてもらうことは、自分のために全くなりません。
そもそも読書感想文を含めた「学校の宿題」は、自分の学力(能力)を上げるためにあるものです。
ChatGPTが提示した回答をそのまま写すだけでは、もはやそれは「勉強」ではなく、ただの「作業」になってしまい、自身の学力向上には繋がりません。当然、テスト等でそれが役立つこともないでしょう。

本来、読書感想文を書くことには以下のような力を養う意味があります。

●正しい文章を書く力
●事象と感想・意見を区別し、情報をまとめる力
●長い文章を読み解く力
●自分の考えを明確にする力

これらは皆さんが大人になるにつれて、どんどん必要性が増してくる力です。
ですが、ただChatGPTを映すだけでは、これらの力は鍛えられませんよね。

読書感想文を書く時は、自分でしっかり本を読み、考えをまとめ、文章を書くようにしましょう。
多少文章がおかしくても、表現が間違っていても、それは後から正せば良いだけです。
大切なのは、とにかく自分の力で書くことです。

■読書感想文の書き方のポイントはこちら!

ChatGPTは事実と異なることを書く場合がある


読書感想文の全てをChatGPTを使って書くことのデメリットは、他にもあります。
ChatGPTはインターネット上から情報を集めて回答を作成する仕組みのため、事実とは違うことを書く可能性もあります。

例えば、ChatGPTに『走れメロス』の感想文を書かせるとこうなります。※以下は2023年6月時点で、ChatGPTに『走れメロス』の感想文を求めた際の回答です。
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『走れメロス』は太宰治によって書かれた短編小説であり、その深い哲学と心の葛藤に触れることができる作品です。
物語は、主人公のメロスが恩人のために身代わりとなり、絶望的な状況の中で力強く生き抜こうとする姿を描いています。メロスは友情や正義、人間の尊厳といった普遍的なテーマに取り組みながら、自身の心の中にある闇と向き合うことにもなります。
~(中略)~
一方で、物語は絶望的な現実や悲劇的な結末を描いており、読む者の心に哀しみを与えます。メロスの苦悩や挫折感は、人間の弱さや現実の厳しさを浮き彫りにしています。このような描写は、読者に考えさせられると同時に、社会や人間性に対する問いを投げかけてくれます。
~(中略)~
『走れメロス』は、単なる物語としてだけでなく、人間の存在や善悪、正義の意味について考えさせられる作品です。その深い思索性と美しい文体は、読者に長く心に残る感動を与えることでしょう。


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はい、いかがでしょうか。
『走れメロス』を読んだことがある人なら、この感想文がおかしいことに気付くと思います。

まず、主人公のメロスが恩人のために身代わりとなり」とありますが、『走れメロス』ではメロスのために親友のセリヌンティウスが身代わりになるというあらすじですよね。
また、悲劇的な結末であり読者の心に哀しみを与える」とありますが、『走れメロス』の結末は所謂ハッピーエンドであり、悲劇的な結末とは言えません。
その他にもいろいろとおかしいところがありますが、この2点は明確に事実と違うことが書かれていますよね。

これをもし、そのまま読書感想文として提出すれば、
「君は本当に『走れメロス』を読んだの?」
と、当然疑問に思われるでしょう。

学校の先生にもバレる可能性が高い!?


これはもちろん、その感想文を見る先生にもよりますが、ChatGPTを使って読書感想文を丸々書いた場合、それが先生にバレる可能性も十分あります。

ChatGPTを使ったことがある人なら分かると思いますが、その回答には独特な文章のクセがある場合があります。
AIが作成する文章ですので、言葉が難しかったり、変に淡々とした機械的な文章だったり、事実の羅列(箇条書き)が多かったりと、何かと「ChatGPTっぽい」文章が表示されます。
これらは質問の仕方を何度か変えたり、AIに情報を教え込ませたりすることで変化が出てくるようですが、そんな手間をかけるくらいであれば自分で読書感想文を書いてしまった方が早いでしょう。

そもそも、「ChatGPTに読書感想文を丸々書かせよう」と考える人は、文章を書くことが苦手な場合が多いでしょう。そしてそれは、担任の先生ならある程度把握しているハズです。
そんな生徒が、いきなり難しい言葉を多用した感想文を提出してきたらどう思われるでしょうか?
これ以上は敢えて言いませんが、その感想文を見た「先生の気持ち」は、国語が苦手な人であっても想像がつくハズです。

また、ChatGPTを使って感想文を書いた生徒が同じクラスに複数いた場合はどうでしょうか。
先述のように、ChatGPTが書く文章にはある程度の法則があるため、
「この子とこの子の文章、妙に似てるな…」
と思われる可能性も十分あります。
もし、題材となる本が同じものである場合は、なおさらその可能性は高くなります。

ChatGPTの上手な使い方
①:言葉の意味を調べる


ここまで読書感想文を丸々ChatGPT任せにすることのデメリットを書いてきましたが、何もChatGPTを使用することが全てダメというわけではありません。
ChatGPTを上手く活用すれば、自分の文章力をしっかりと高めつつ、より良い文章を書くこともできます。

例えば、本を読んでいると時々、難しい言葉・自分の知らない言葉が出てくることがあります。
そのような言葉の意味をChatGPTで調べてみると、より詳しい情報を得ることができます。
例えば、先ほど取り上げた『走れメロス』の中にでてくる「邪智暴虐」の意味をChatGPTに訊いてみましょう。
すると、以下のような答えが返ってきます。
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「邪智暴虐」(じゃちぼうぎゃく)は、日本語の成句で、特定の人物や組織の行動や性格を批判的に表現するために使用される表現です。以下にそれぞれの意味を説明します。
「邪智」(じゃち): 邪悪で不正な思考や考え方を指します。倫理的に問題のある、歪んだ思考や邪悪な目的を持つことを指すことがあります。
「暴虐」(ぼうぎゃく): 権力を乱用し、残忍で残虐な振る舞いや行動を行うことを指します。暴力や虐待、圧政的な支配など、他者に対して非人道的な行為を行うことを指すことがあります。
「邪智暴虐」という表現は、特に独裁者や権力者などの行動や政策を非難する際に使用されます。その人物や組織が不正や虐待を行い、公正や倫理から逸脱していると見なされる場合にこの表現が用いられます。
ただし、この表現は強い批判や非難を含んでいるため、使用する際には注意が必要です。また、具体的な文脈や話者の主観によって、その解釈や評価が異なる場合もあります。


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このように、言葉の意味を詳しく答えてくれるだけでなく、実際の使用例や、使用する際の注意点なども教えてくれます。
これを上手く活用すれば、自分が読んでいる本について、より理解を深めることができるでしょう。
ただし先ほども触れたように、ChatGPTは誤った情報を答えることもあるため、特に大事な言葉の意味を調べる際は辞書等で再確認するようにしましょう。

■ChatGPTの上手な使い方
②:表現のヒントを得る


文章を書く時に「こんな気持ちを表現したいけど、良い言葉が思い浮かばない」ということもあると思います。
そんな時、ChatGPTに訊いてみると、自分の気持ちを表す言葉のヒントがもらえることがあります。
例えば、以下はChatGPTに「悲しい気持ちを表す言葉」を訊いてみた際の回答です。
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悲しい気持ちを表す言葉は多岐にわたります。以下にいくつかの例を挙げます。
・悲しい – 悲しみや悲哀を感じることを表す基本的な形容詞です。一般的な「sad」に相当します。
・悲痛な – 極度の悲しみや苦しみを表す形容詞です。「agonizing」や「heart-wrenching」に近い意味です
・哀しい – 深い哀しみや悲しみを表す形容詞です「sorrowful」や「grief-stricken」に近い意味合いがあります。
・傷心の – 心が傷ついた状態や失恋などによる悲しみを表す形容詞です。「heartbroken」に相当します。
・憂鬱な – 深い憂鬱や鬱屈した気持ちを表す形容詞です。「depressed」や「melancholic」に近い意味合いがあります。
・落胆した – 期待を裏切られたり、失望したりして落胆した気持ちを表す形容詞です。「disheartened」に相当します。
・憂愁の – 深い憂愁や哀愁を抱いた状態を表す形容詞です。「melancholic」や「sorrowful」に近い意味合いがあります。
・哀悼の – 強い哀悼や追悼の気持ちを表す形容詞です。「mournful」に近い意味合いがあります。
・寂しい – 孤独や切ない気持ちを表す形容詞です。「lonely」や「solitary」に相当します。
・痛ましい – 強い痛みや苦しみを伴う悲しい状況を表す形容詞です。「painful」や「distressing」に近い意味合いがあります。
・悔しい – 後悔や悔しさを表す形容詞です。「regretful」や「frustrating」に相当します。
・哀れな – 哀れみや同情の念を引き起こす状況や人を表す形容詞です。「pitiful」や「pathetic」に近い意味合いがあります。
・切ない – 深い切なさやつらさを感じる気持ちを表す形容詞です。「heartrending」や「aching」に近い意味合いがあります。
・不機嫌な – 悲しい気持ちや不満からくる不機嫌さを表す形容詞です。「gloomy」や「sullen」に相当します。
・やるせない – 無力感やどうしようもない悲しみを表す形容詞です。「helpless」や「hopeless」に近い意味合いがあります。
これらの言葉は、悲しみを表現する際に使われるさまざまな表現です。ただし、言葉のニュアンスや適切な使用法は文脈によって異なる場合がありますので、具体的な文脈に基づいて使い分けることが重要です。


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このように、ChatGPTでは表現のヒントを数多く与えてくれるほか、それらの言葉がどんな英語に該当するか等も調べることができます。
これらの言葉を実際に使用しながら文章を書けば、自分の知識や語彙力を広げることにも繋がります。
もちろん実際に使用する際は、これらの解説が合っているか、改めて辞書で確認することも大切です。

■ChatGPTの上手な使い方
③:文章の添削を行う


ChatGPTでは、文章をある程度添削することもできます。
自分の文章に自信がない人は、まず自分で書いた文章をChatGPTに入力し、文法的な間違いなどを探して正しい表現に直すこともできます。
また、違う表現や強調箇所などを指摘してもらい、より読みやすい文章の書き方を学ぶこともできます。

ただ、上記①・②と比べると、この方法はそこまでオススメできません。
それはAIによる添削は、人間と比べるとまだまだ精度が劣るところがあり、提示される文章が必ずしも良いものとは限らないからです。
この機能を使用する際は、添削された文章をよく読み、可能であれば他の人にも確認するなどしてから、自分の文章に反映するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
こちらの記事をお読みいただいたことで、読書感想文の制作にChatGPTを使う上での注意点などが、少しでも伝わりましたら幸いです。

確かに、ChatGPTは学校の勉強や宿題に上手く活用することもできます。
自分がどうしても分からない問題のヒントを得る等の使い方であれば、効率的な学力の向上にもつながるでしょう。

ただ、こちらの記事でも取り上げたように、問題や課題を全てChatGPTにやってもらうといった使い方は、全くオススメできません。
それでは宿題をすることが「勉強」ではなく、ただの「作業」となってしまい、自分の学力や成績を上げることには繋がらないからです。
特に今回取り上げた【読書感想文】などをChatGPTに丸々書いてもらうことは、様々なリスクがあります。
ChatGPTは非常に便利なツールだからこそ、自分の能力の向上に役立つような使い方をしていきましょう。