県議会って何をするところ?|全学年/社会科

勉強コラム

この記事では、各都道府県の議会が、具体的に何を決めるところなのかについてご説明します。
県議会の構成や任期、「一般議会」と「特別議会」の違いなどについても詳しく解説しています。

目次

そもそも県議会ってなに?


県議会とは、日本の都道府県に設置されている立法府のことを指します。
都道府県は、日本の地方分権制度において、中央政府と地方自治体の中間に位置し、地方自治の担い手として、様々な行政業務を行っています。
県議会は、その都道府県の政策決定や予算策定を行う重要な機関であり、県民の利益を代表して活動しています。

県議会は、都道府県内において政策を立案し、行政を監督することがその役割です。
議会は、県知事や副知事を含めた都道府県職員の行政処理に対して、批判的な視点をもって審議を行うことが求められます。
また、県民からの意見や要望を取り入れ、県政の改善や発展に取り組むことが重要な役割のひとつです。

県議会の構成や議員の任期は?

県議会は、県知事や副知事、議長、副議長、議員から構成されます。
議員は、普通選挙で選ばれ、任期は4年となっています。
県議会は、一般議会と特別議会に分かれており、一般議会は1年に2回開催され、特別議会は必要に応じて招集されます。
議員は、会議や委員会などで意見を交換し、決定を下すことが求められます。

県議会はどこで行われている?

県議会は、各県庁所在地にある県議会議事堂や県庁内の議場で開催されます。
具体的には、県庁や県庁所在地にある県立文化会館などの公共施設に議場が設置されています。
各都道府県の議会の所在地や議事堂の詳細については、各都道府県のホームページや議会のホームページで確認することができます。

県議会で決められる主な内容

また、県議会は、都道府県条例の制定や改正、予算案の策定、県知事の選出や不信任決議、議会の解散など、様々な重要な決定を行うことができます。
県民の生活に密接に関わる問題についての審議や、市民の意見を反映した意思決定を行うことが求められます。
この後、さらに詳細を解説します。

↓↓県議会で決められることの詳細↓↓

■一般議会の決定事項について

①:予算案・決算案の承認


県議会は、都道府県の歳出と歳入のバランスをとり、県民の福祉や経済発展に貢献する予算案を策定します。
予算案は、各部署や事業ごとに分けられ、その配分を検討して決定されます。
また、一年間の収支状況を報告する決算案も承認されます。

【予算案】
都道府県の予算案は、翌年度における財政計画の総括的な提案です。
予算案には、都道府県が翌年度にどのような事業を行い、いくらの財源をどのように配分して、どのような成果をあげるのかが記載されています。
県議会は、予算案を審議し、必要に応じて変更や削減を行いながら、最終的に承認します。
予算案が承認されると、都道府県は翌年度の事業を開始することができます。

【決算案】
都道府県の決算案は、前年度の財政状況を集計したものであり、各事業の収支や支出内容が詳細に記載されています。
また、決算においては、予算案に対する実績との比較も行われます。
県議会は、決算案を審議し、必要に応じて修正や批判を行いながら、最終的に承認します。
決算案が承認されると、都道府県は翌年度以降の事業計画を策定する際の参考として活用されます。
予算案と決算案は、都道府県の財政運営の基本となるものであり、県民の福祉を担うために必要な財源の配分や事業の実施に影響を与えます。
そのため、県議会の予算案・決算案審議は、非常に重要な役割を果たしています。

②:条例・規則の制定・改正


県議会は、都道府県の事業や政策を実行するために必要な規則や条例を制定・改正することができます。
具体的には、県の施策や福祉施設の管理、地域振興、環境保全、行政手続きの規定などがあります。

【条例】
都道府県の条例は、都道府県議会が定める法律のようなものであり、法律より下位の法令です。
条例は、都道府県の自治に関する事項や福祉、公衆衛生、環境、道路などの分野について、詳細な規定を定めます。
条例の制定・改正には、都道府県議会での審議が必要です。
制定・改正が承認された場合、条例は公布され、その施行によって法律と同等の効力を持ちます。

【規則】
都道府県の規則は、条例よりも低い法令であり、条例に詳細な規定を定めるためのものです。
規則は、例えば都道府県の施設の使用方法や、許可・届出の手続き方法などを定めます。
規則の制定・改正には、都道府県知事が行いますが、制定・改正には都道府県議会での審議が必要となる場合があります。
条例・規則は、都道府県における様々な施策についての規制を定めるために、重要な役割を果たしています。

県民の安全や福祉を確保するために、適切な条例・規則の制定・改正が行われるよう、都道府県議会は重要な役割を担っています。

③:議会の意見や決定事項の答申

県知事から提出された意見書や、県議会で可決された決定事項について、県知事や関係機関に対して答申を行います。
また県議会は、県民の代表機関として、県政に対する意見や要望を表明することができます。
このような意見や要望をまとめたものを、「議会の意見」といいます。

議会の意見には、県政に関する様々な問題について、県政府に対して提言するものや、県政府が行う施策に対して評価や改善要望をするものがあります。
また、議会が採択した決定事項については、県政府に対して「答申」を求めることができます。
答申とは、県政府が議会の決定事項に対してどのような措置をとるか、その方針や意見を示すことを言います。

県議会の意見や決定事項の答申は、県政府にとって重要な参考となります。
県民の代表として、県政に対する要望や意見をまとめ、積極的に提言することで、県政の改善や発展に貢献することが期待されています。

④:県知事の選任


県知事は、県議会によって選任されます。
県知事の選任において、まず県議会が「県知事選考委員会」を設置します。
この委員会は、県知事を選任するために、県議会議員の中から選ばれた委員によって構成されます。

選考委員会は、県知事候補者の公募を行い、応募者から選考を行います。選考においては、履歴書や面接、公聴会などが行われ、最終的に選考委員会は、候補者を決定します。
その後、選考委員会が決定した候補者名を県議会に報告し、県議会での議決を経て、県知事が選任されます。
なお、県議会による県知事の選任は、知事の任期満了、辞任、死亡などによって空席となった場合に行われます。

以上が、県議会による県知事の選任の概要です。
県民が直接選挙によって選ぶ場合と異なり、県議会による選任では、県議会が知事選考委員会を設置し、委員によって候補者を選考するという手順があります。

⑤:監査請求

県の行政に対して、問題点や疑問点がある場合は、議員が監査請求を行い、調査や報告を受けます。

【監査請求とは】
監査請求とは、県議会議員が県政に対して疑問や不信感を抱いた際に、県議会に対して監査を請求することです。
具体的には、県政の施策や事業について、その内容や進捗状況、財政上の問題点などについて、詳細な調査を求めることができます。

監査請求は、県議会が行う監査の一環として行われます。
県議会は、監査請求に基づいて、県政の関係者に対して説明を求め、必要に応じて事業の見直しや改善を求めることができます。

【監査請求の手続き】
監査請求を行うには、まず県議会に提出書類を提出する必要があります。
提出書類には、以下の内容が含まれます。

・監査請求の趣旨や目的
・調査対象となる事業や施策
・調査期間や方法
・関係者の名称や住所など

提出書類が受理された後、県議会が監査請求の可否を審議し、可決された場合には、調査が行われます。
調査の結果、必要に応じて県政の改善や見直しが行われることがあります。

以上が、監査請求の概要と手続きについてです。
県議会は、監査請求を通じて、県政の透明性や財政の健全性を確保するとともに、県民の利益を守るための重要な役割を果たしています。

⑥:県民からの要望に対する対応


県民からの要望に対して、議員が回答や意見書の提出、手紙や電話などでの回答を行います。
具体的には、以下のような方法で県民からの要望に対応しています。

【県民の要望に対する対応】
1.請願の受理・審査
県民からの請願は、県議会が受理・審査することができます。
請願は、市民団体や個人が県議会に対して、ある特定の事柄に関する改善や措置を求めるものです。
請願が受理された場合、県議会は審査を行い、必要に応じて対応を行います。

2.市民意見・陳情の受付
県議会では、市民からの意見や陳情も受け付けています。
これは、請願とは異なり、あくまでも市民の意見や要望を県議会に届けるためのものです。
市民からの意見・陳情は、県議会議員によって取りまとめられ、必要に応じて県知事に報告されます。

3.県議会議員との直接対話
県民からの要望に対して、県議会議員は直接対話を行うこともあります。
県議会議員は、選挙区や定数区という地域を担当しており、その地域の住民と直接話し合うことができます。
県民からの要望や意見を受け止め、必要な手続きを進めることもあります。

以上が、県民からの要望に対する県議会の対応方法です。
県民の声を受け止め、適切な対応を行うことが、県議会の重要な役割の一つとなっています。

■特別議会の決定事項について

①:予算案・決算案の承認

特別議会も、一般議会と同様に県の歳出と歳入のバランスをとり、県民の福祉や経済発展に貢献する予算案を策定し、決算案を承認することができます。
特別議会において、予算案や決算案を承認する場合、以下の手順で行われます。

1.予算案や決算案の提出
特別議会において、予算案や決算案が提出されます。
提出された予算案や決算案は、県議会議員が審議し、承認をする必要があります。

2.審査
予算案や決算案は、審査されます。審査の内容は、定例議会と同様に、予算の内訳や決算報告書の内容などを詳細に検討し、必要な修正や追加を行います。

3.採決
審査が終了したら、採決が行われます。
採決は、議員が賛成・反対・棄権のいずれかの意見を述べ、多数決で承認・否認が決まります。
特別議会では、議決が成立するためには、議員の過半数以上の賛成が必要です。

4.承認
採決で多数決で承認が決まれば、予算案や決算案が承認されます。承認された予算案は、その後県知事によって施策が進められます。
承認された決算案は、県議会が開示することで、県民に対して公開されます。

以上が、特別議会における予算案・決算案の承認についての説明です。
特別議会は、定例議会とは異なる手続きで行われるため、議決までの時間が限られていることが多く、よりムーズな審議が求められます。
また、特別議会は、予算案や決算案以外にも、緊急性の高い議題を扱う場合があるため、議員の出席率が高く、迅速かつ効率的な審議が求められます。

②:条例・規則の制定・改正

特別議会も、一般議会と同様に県の事業や政策を実行するために必要な規則や条例を制定・改正することができます。
ただし、一般議会における条例・規則の制定・改正に比べ、特別議会における条例・規則の制定・改正は、限定的なものとなることが多いです。
例えば、緊急性が高く、速やかに対応する必要がある場合には、通常の定例議会ではなく、特別議会で条例や規則の制定・改正が行われることがあります。

特別議会においては、予算案・決算案と同様に、条例や規則の制定・改正についても県議会議員が議論を行い、審議を行います。
具体的には、議案が提出された後、専門的な意見を聞くために委員会が設置され、委員会での審議を経て、本会議において最終的な決定がなされます。

条例や規則は、市民生活に密接に関わるものが多いため、特別議会における審議も、市民の立場に立った視点で行われることが求められます。
また、特別議会での審議も、予算案・決算案と同様に、迅速かつ効率的に進められるように努められます。

③:緊急性の高い議案の審議


特別議会は、緊急性の高い議案を審議するために招集されることが多いです。
県議会の特別議会では、通常の定例議会において審議できなかった緊急性の高い議案が審議されることがあります。

例えば、災害発生時の対応策や、緊急の医療・福祉施策の実施、特定の事業やイベントの実施に必要な予算の承認などが該当します。
これらの議案は、市民の生命・安全・福祉に関わるものであり、迅速な決定が必要とされるため、緊急性の高い議案とされています。

特別議会では、緊急性の高い議案の審議に優先的に取り組み、迅速に決定を下すことが求められます。
通常の定例議会とは異なり、特別議会では一般質問や報告などの時間を短縮することで、重要な議案の審議時間を確保することがあります。
また、審議内容によっては、県知事や関係者からの説明や意見聴取が行われることもあります。

緊急性の高い議案に対する審議は、県民の生命・安全・福祉を守るために非常に重要な役割を果たします。
県議会は、市民の立場に立った視点で、的確かつ迅速な決定を下すことが求められます。

④:県知事の不信任決議案の可決


県議会の特別議会では、県知事に対して不信任決議案を提出し、可決することができます。
不信任決議案は、県議会議員の議員定数の2分の1以上の賛成が得られた場合に可決されます。

不信任決議案は、県知事に対して行政の責任者としての信頼が失われた場合に提出されるものであり、県民の信頼を失うような行為や、法令違反、不適切な施策の実施などがその理由となります。
また、議会と行政の関係が悪化し、行政が議会の監視や審査を拒否する場合にも提出されることがあります。

不信任決議案が可決された場合、県知事は即時に辞職する必要はありませんが、行政の指導者としての信頼を失うことになります。
また、県議会との信頼関係が失われ、行政の運営に支障をきたすことになるため、通常は県知事の辞職が求められることがあります。

不信任決議案の提出や可決は、県政の健全な運営にとって重要な役割を果たすものであり、県民の声を反映すると同時に、議会と行政の関係を確立する上でも重要です。

⑤:議会の解散決議案の可決

一般議会や特別議会が、県知事による議会の解散を求めることができる解散決議案が可決されることがあります。
解散決議案が可決された場合、県知事は議会を解散し、新たな選挙が実施されます。

議会の解散決議案は、県議会議員の議員定数の3分の2以上の賛成が得られた場合に可決されます。
議会の解散決議案は、議会の任期が終了する前に解散して、新たな選挙を行うことを決定するものであり、主に以下のような理由が挙げられます。

・議会の任期が残り少なく、新しい方針や政策を打ち出すために選挙を行いたい場合
・議会と行政の対立が激化し、行政改革や施策の推進が困難になった場合
・市民の要望に沿った議会の構成を目指すために、解散選挙を行いたい場合

議会の解散決議案が可決された場合、県知事は必要な手続きを行い、選挙管理委員会に対して解散選挙を行うように要請します。
その後、新たな選挙が行われ、新しい議員が選出されます。
議会の解散決議案は、重大な決定であるため、議員の多数決だけでなく、県民の意向や議会と行政の関係など、幅広い要因を考慮して慎重に決定されることが望ましいとされています。

おわりに

以上が、県議会が決定する主な事項になります。
県民の生活に密接に関わる重要な問題を審議し、市民の意見を反映した意思決定を行うことが求められます。
また、議員は、市民との交流を通じて、市民の声を吸い上げ、県政の改革につなげることが重要です。