「楽しかったです」は正しい敬語?|全学年/国語

勉強コラム

小学校の低学年の日記などの最後に「~して楽しかったです。」という表現がよく見られます。この表現に何となく違和感を覚える人がいると思います。私もその一人ですが、ではこの「楽しかったです。」という敬語表現は「です」の使い方として正しいのでしょうか。

目次

文科省曰く…

文部科学省の文化審議会が出した「敬語の指針」(平成19年2月2日)という答申には、「です」は丁寧語に分類されています。
結論から言えば、そこでは

「丁寧語『です』『ます』を付ける上で留意を要する点は特にない(『高いです』のように、形容詞に『です』を付けることについては抵抗を感じる人もあろうが,既にかなりの人が許容するようになってきている。特に『高いですね』『高いですよ』『高いですか』などという形で使うことに抵抗を感じる人はほとんどいないであろう)。」

と述べられています。 
平たく言えば「本来の姿とはちょっと違うけど、最近の傾向として認めてもいいんじゃない?」といった感じでしょうか。

本来の表現

では、本来はどう表現されるべきなのでしょう。そもそもこの「です」は断定の助動詞で、文法上は体言と助詞の「の」に接続します。

例えば、「私が校庭で見たのは、白い犬です。」や「昨日の大雨で、川が氾濫したのです。」などです。それが「楽しかったです。」という表現では、「かった」という過去の助動詞ら接続しています。それが違和感を覚える原因なのです。

「楽しい」という形容詞に丁寧語 「です」「ます」を付けた場合、本来ならば「楽しゅうございます」と表現されるべきなのです。「楽しい」以外では、「高い→高(たこ)うございます」「おいしい→おいしゅうございます」「軽い」→「軽うございます」「重い→「重うございます」などです。

それが「楽しかった」という過去表現に丁寧語の「です」を付けたために「楽しかったです」となったわけで、正しくは「楽しゅうございました」として「ます」の方を過去表現にするべきなのです。ただ、感覚的には「昨日の遠足は楽しゅうございました。」とか「友達と飲んだ麦茶は冷たくておいしゅうございました。」ではちょっと古くさいし逆に仰々しくなってしまうのも事実です。日常生活の中で「楽しゅうございました」という表現自体、皇室関係の報道とか時代劇の中でしか耳にしませんからね。

「すごい楽しい」は日本語表現として正しいか

敬語とは離れますが、これとよく似た言葉の変化に「すごい楽しい」、「すごいおいしい」という表現があります。若い世代はもちろん、結構年配の方でもインタビューなどで「すごい楽しい」「すごくおいしい」という表現をされているのを耳にします。これも「楽しかったです」以上に違和感を覚える表現です。

「すごい」は「楽しい」と同じ形容詞です。形容詞は品詞の分類の中では用言に分類されます。ということは「すごい+楽しい」は「用言+用言」なのですから上に来る「すごい」は下の用言(楽しい)に接続する連用形にならなくてはなりません。つまり「すごい」ではなく「すごく」に変わらなくてはならないのです。「すごい楽しい」「すごいおいしい」は「すごく楽しい」「すごくおいしい」が正しい表現なのです。

 これも「楽しかったです」と同じように次第に違和感はなくなり、何年かしたら「すごい楽しい」が日常表現として定着してしまうのかもしれません。それはそれで仕方のないことかもしれません。事実、両親を「お父さん」「お母さん」とは呼ばずに、「パパ」「ママ」と呼んでも普通に感じている人がほとんどなのですから。それでも少しは違和感を感じてくれる人がいるうちは大丈夫なのでしょう。

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こちらの記事の監修者

 浅井保(あさい たもつ)
・北海道大学文学部卒
・家庭教師のアルファ 講師部長
・山手中央高等学院 学院長

 
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長、および同社の運営する通信制サポート校・山手中央高等学院の学院長を兼務しながら講師として指導にも従事。