『非認知能力』とは? ~幼児教育が大切な理由~|全学年

こどもの教育

今、世の中では、幼児教育が非常に注目されていますよね。「〇歳までに~をすると良い」「子どものためには~が重要」なんて言葉を、いたるところで目にします。でも、あまりに叫ばれ過ぎていて、「結局なにが大切なの?」と、疑問を持たれてはいませんか?
実は幼児期に”ある能力”を鍛えることが、その後の学歴・雇用形態・収入に大きく影響すると言われています。それは、「非認知能力」と呼ばれる力です。人によっては、あまり聞き慣れない言葉ですよね。
そこでこの記事では、「非認知能力とはどのようなものか」「なぜ幼児期に鍛えることが大切なのか」などについて、詳しく見ていこうと思います。

目次

非認知能力って何?

 非認知能力とは、IQなどで測定できない「目に見えない力」のことを言います。ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン(James Joseph Heckman)らによると、非認知能力は

・開放性(好奇心や想像力)
・勤勉性(自己規律や忍耐力)
・外向性(社交性や明るさ)
・協調性(優しさや思いやり)
・精神安定性(不安を抑える力、自制心)

といったものに分類されるといいます。そして冒頭でも触れた通り、これらの能力が将来的な経済成果を高めることが確認されているのです。
 ちなみに、「認知能力」と呼ばれるものもあります。これは、理解・判断・論理といった知的機能を指します。学校の成績に大きく影響するのはこの認知能力ですが、ヘックマンらによれば、非認知能力の向上は認知能力の発達を促すとされています。つまり、非認知能力と認知能力は、絡み合うように伸びていくということですね。

なぜ幼児教育が大切なの?

 それでは、なぜ幼児期に非認知能力を鍛えることが大切なのでしょうか。これに関しては、『ペリー幼児教育計画』という有名な研究があります。
 アメリカのハイスコープ教育財団は、1962 年から1967年にかけて、低所得世帯の 3~4歳の子どもに教育を提供しました。これは、平日に幼稚園で授業を行うほか、週末には1.5時間をかけ家庭訪問を実施するというものでした。そしてこの研究では、対象となった子どもが40歳代になるまで追跡調査を行いました。その結果、幼児期に教育を受けた子どもの人生は、他の子どもと比べ様々な点が違っていたのです。
 まず、14歳時点で学校の出席率・成績が他の子どもと比べ格段に高く、19歳時点では高校の卒業率が17%も優れていました。さらに、40歳時点では収入・持ち家率・生活保護の非受給率に、圧倒的な差が出たのです。

ヘックマンはこの結果について、幼児期に非認知能力を発達させた成果だと解釈しています。
また、この研究は幼児教育の費用対効果も証明しました。同研究は1ドルの投資に対し、12.90 ドルの社会的便益があると報告されているのです。つまり、幼児教育はコストパフォーマンスに大変優れた教育ということになります。

なぜ幼児教育が大切なの? パート2

もう一つ、幼児教育における有名な研究をご紹介します。シカゴ大学の人体学者スキャモン(Richard Everingham Scammon )によれば、人間の脳は6歳までに約90%が構築されるといいます。子どもが小学校に上がる頃には、脳はほとんど完成されるということですね。

つまり人間にとって、生まれてから6歳までの期間が、あらゆる能力を伸ばす最大のチャンスなのです。人の土台が形成されるこの期間に、どれだけ良質な教育を行えるかが、その後の人生を左右するといっても過言ではありません。無論、非認知能力に関しても同様のことが言えます。この期間にさまざまな経験を積ませ、脳に多くの刺激を与えることが、優れた非認知能力を身につけることへと繋がります。

保護者は何をすれば良いの?

 ここまでは、幼児教育の重要性について触れてきました。では、具体的にどのような教育を行えば良いのでしょうか。
非認知能力を伸ばすための教育は、実はあまり難しいことではありません。子どもと接する際、いくつかのことを意識するだけで、その後の非認知能力が大きく伸びると言われています。

子どものやりたいことを尊重する

子どもは、身近にある多くの物事に関心を示し、いろいろな行動を起こします。その中には、大人からすると無意味に見える行動もあるでしょう。しかし、たとえ無意味に思えたとしても、保護者はその行動を止めたりせず、寄り添い、見守ってあげてほしいのです。
子どもの興味関心を尊重することは、「探求心」や「自己肯定感」を育むことへと繋がります。先述したように、これらの能力は大人になってからも役立つ、非常に重要なスキルです。

「否定」ではなく「提案」

子どもがやることの中には、人に迷惑が掛かってしまうこともありますよね。「してはいけないこと」を教えるのは保護者の重要な役目ですが、ここでも意識してほしいことがあります。
頭ごなしに子どもを叱ってしまうと、子どもはなぜ怒られているのか分からず、自分を否定してしまいます。これは自信の喪失へと繋がります。幼少期に失った自信は取り戻すのが難しく、大人になっても自己肯定感を持てないことが多いのです。
子供を叱るときには、まず「なぜいけないのか」という理由を説明してあげてください。そのうえで「こうしてみようか」と提案するように諭すことで、子どもは自己肯定感を失うことなく「どうすれば良いか」を学ぶことができます。

最も大切なのは、『無償の愛』

非認知能力を伸ばすのに最も大切なこと。それは何よりも、無償の愛を持って子どもと接することです。子どもは、保護者との緻密なコミュニケーションのなかで、安心感や信頼感を得ます。
・良いことをしたら褒めてあげる。
・寂しそうにしていたら一緒に遊んであげる。
・不安そうにしていたら寄り添ってあげる。
このような小さなことの積み重ねが、子どもの非認知能力を大きく伸ばすのです。

まとめ

いかがでしたか?この記事では非認知能力についてご紹介し、能力向上における幼児教育の重要性や、具体的に何をすれば良いかを解説してきました。
まとめると、この記事でお伝えしたいことは以下の二点です。
①『幼児期に非認知能力を鍛えると、その後の人生において、学歴や収入といった点で大きなメリットが存在する』
②『非認知能力を伸ばすにあたり最も重要なことは、子どもと保護者の良質なコミュニケーション』
ということを、少しでもご理解いただければ幸いに存じます。

この記事をお読みいただいた方の中には

「でも、仕事が忙しくてなかなか子どもとコミュニケーションがとれない」
「ついつい頭ごなしに子どもを叱ってしまうので、良い教育ができているのか心配」
「いろいろな経験を積ませてあげたいけど、何をすれば良いかわからない」

といった方も多いかと思います。
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こちらの記事の監修者

 浅井保(あさい たもつ)
・北海道大学文学部卒
・家庭教師のアルファ 講師部長
・山手中央高等学院 学院長

 
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長、および同社の運営する通信制サポート校・山手中央高等学院の学院長を兼務しながら講師として指導にも従事。