目次
指導中の多動について
実際私が指導をした、多動症との診断を受けているAさん(小学5年生)の例をお話します。
Aさんは指導中に次のような行動をとる傾向がありました。
・鳥が鳴いただけでも「うるさーい!!」「あっち行けー!!」と叫ぶ
・解けない問題があると定規を剣のようにして振り回して「エイっ やー!」と大声を出す
・席を離れてかくれんぼを始めようとする
・「腹が立つ!!ムカつく!!」と学校での出来事を思い出して怒りだしたり、泣いたりする。
・窓の外に近所の犬が散歩をしていると、突然大きな声で犬に向かって家の中から声を出して「こっち来てー!」と言う。
一般的な注意は逆効果になる場合も
最初はそれらの行動に対して、私は「座って」「声を出さないで」「席を離れないで」「勉強中だよ」などと声がけをしていました。
しかし、それらの声掛けはAさんには効果が薄く、むしろ繰り返し注意することは逆効果なのではないかと感じ始めました。
実際、注意するとAさんから「先生がウザイ!」と言われ 注意されたことに対して腹を立てて泣き出してしまったこともありました。
プロ家庭教師が行った声掛けとは
そこで私は以下のことをすることにしました。
大声を出したら 「どうしたの?」と声がけし理由を尋ね、声を出したことに対して怒らない 。
急に離席したら「離れてもいいけど、どこに何しに行くのかを教えてくれないかな?」と一言伝える
するとAさんの多動が少しずつ減ってきました。
まず大声を出したら理由を尋ねるようにしたところ、Aさんは最初こそ興奮していたものの、そのうちに落ち着きを取り戻し「今 犬がいたから声かけたかったの」など自分の気持ちを話してくれるようになりました。
離席しようとした時には「席を離れてもいいよ。でも急にどこかに行かないで、行く場所と理由を教えてね」と声がけをすると「トイレ行ってもいい?」「この問題分からない。だからストレス発散にお水飲んでもいい?」と、しっかりと理由を説明してくれるようになりました。
この自分の気持ちを話す、という行動が大切です。
ちゃんと理由を聞くようにする
一方的に相手の行動を否定するのではなく、理由を聞くようにすると、たとえ多動症のお子さんであっても言葉を伝えてくれるようになります。
相手の行動を否定しない。肯定的に受け入れる。そして気持ちに寄り添う話を聞く。
この繰り返しで、Aさんも「この人は自分の話を聞いてくれる」と、気持ちにも余裕ができたのだと思います
よく、相手を変えたければまず自分を変えろと昔から言われています。
生徒さんを指導する際にも同じことが言えると、私は常日頃から感じています。
私の声掛けが変わったことでAさんの多動は減っていきました。
最初から「〜しないで!」を多用していたらAさんはますます反発して多動になっていたことでしょう。
しかし私がAさんの行動を認めるようになったことで私が変わりました。
そしてAさんも変わりました。
まずは大人が変わることが大切
最初からその子の行動を否定せず、できる限り行動の理由や動機を知ろうとすること。
それが大切だと考えています。
「〜しないで!」ではなく「どうしたの?」「○○さんが急に大きな声出したから心配したよ。何があったの?」「急にいなくなったから心配したよ」など肯定的に受け入れる。
気持ちを汲んであげること。それが大切なことであると、長年の指導経験から感じています。
「自分のことをわかってくれる」と思ってもらえるような信頼関係を築くことで、少しずつ心を開いてくれます。
多動症だからこの子は集中できないのではなく、多動症だから周りの大人が変わってあげる。
そうすることで集中もできるようになる。
だんだん「できた」を増やすことができる。
できないことが減ってくれば楽しくなる。
楽しくなればまた頑張ろうと思うようになる。
多動症だから怒ってばかりではなく、大人の支援で、声がけで、少しでも多動を改善させることはできると信じています
まずは大人から変わりましょう。
肯定的に受け入れましょう。
そうすれば子どもは変わります。
おわりに
いかがでしたか?
こちらの記事が、多動症で勉強のことでお困りの方にとって、僅かでも改善のきっかけとなりましたら幸いです。
さて、私たち家庭教師のアルファは、「教育を通じて社会のできたを増やす」をミッションとして掲げ、これまで15年以上、35,000人を超えるお子さまの学習をサポートしてまいりました。
今、教育のことでお困りであれば、まずはアルファにご相談ください。
下のボタンから、資料請求・無料体験のお申込みが可能です。また、お電話での学習相談も承っております。どうぞお気軽にご相談ください。
こちらの記事の監修者
浅井保(あさい たもつ)
・北海道大学文学部卒
・家庭教師のアルファ 講師部長
・山手中央高等学院 学院長
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長、および同社の運営する通信制サポート校・山手中央高等学院の学院長を兼務しながら講師として指導にも従事。