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5文型ってなに?
英文は、命令文や疑問文でなければ、主語(S)+動詞(V)から始まります。
この「動詞」の動作に直結する要素として直後に来るのが、目的語(O)と補語(C)です。
時や場所などの修飾語を除き、動詞に密接な繋がりのある要素(O、C)の組み立てだけに注目してまとめたものが、5文型と言われるものです。
自動詞と他動詞
自動詞と他動詞の違いは、後に目的語が来るかどうかです。
目的語とは名詞もしくは名詞扱いできるもの(to不定詞など)で、動詞の動作がなされる対象なのですが、大雑把に「~を」や「~に」に当たるものと理解しておけばいいと思います。
目的語が来ないものが自動詞、来るものが他動詞です。
「stay」と「visit」を対比してみましょう。
① I stayed in Kyoto last night.(SV=第1文型)
② I visited Kyoto last year.(SVO=第3文型)
「visit」の動詞の意味は「~を訪れる」です。
重要なのは「~を」も意味に含まれていることで、「visit」の後には、場所を表わす目的語がなければなりません。
「stay」の動詞の意味は「滞在する」で、「~に」は意味に含まれていないので、「in」や「at」という前置詞を用いなければ、「~に」を表わすことができないのです。
「in Kyoto」のように前置詞がつく名詞や、「last night」のように時を表わす部分(副詞句)は修飾語として扱い、文型を考える際の要素には入れません。
ただし、多くの動詞は、自動詞・他動詞、両方の使い方ができます。
③ Birds generally fly in the sky.
④ Fly me to the moon.
「generally」のような副詞も修飾語になりますので、③は第1文型。④は、主語はありませんが、「me」が目的語になるので、第3文型です。
ちなみに④は、ジャズのスタンダード・ナンバーで、一般に「私を月に連れてって」と訳されています。
「補語(C)」とは何か
補語というのは、その前に出ている名詞がどのような人・物なのかを説明する、言い換えると、意味を補完する役割を持ちます。
第2文型(SVC)を作る代表的な動詞は「be」ですが、look、sound、feel などもこの使い方ができます。
⑤ He is a young boy.
⑥ She looks young.
⑤では、「a young boy」という名詞が彼がどういう人物なのかを、⑥では、「young」という形容詞が彼女がどう見えるのかを表わしています。
つまり、「主語」の性質や状態を説明するのが、補語です。
そこには、「He = a young boy」、「She = young」という関係が成り立っています。
⑦ Tom is a good baseball player.
⑧ Tom met a famous baseball player.
⑦は「Tom = a player」なので第2文型、⑧は「Tom ≠ a player」で、a famous baseball player は目的語になり、第3文型です。
第4文型(SVOO)と第5文型(SOVC)
動詞の後に2つの要素が来るのが、第4文型と第5文型です。
⑨ My father gave me this book.
第4文型の場合は動詞の後に目的語が来ますが、必ず「~に(me)」+「~を(this book)」の語順になります。「~に」を後ろに持っていく場合は、
⑩ My father gave this book to me.
のように、「to」という前置詞が必要になり、この「to me」は修飾語になりますので、⑩は第3文型です。
「~に」を後ろに持っていくときに「to」を用いる動詞は、give、tell、show、send、teach などがあります。
この他に、buy、make、cook、present などは「for」、ask、inquire などは「of」を用います。
さて、第4文型と第5文型の見分け方としては、動詞の後の2つの要素が、イコールか否かを見定めるというのが一般的でしょう。⑨は「me ≠ this book」なので、第4文型です。
⑪ My parents made me a doctor.
⑫ This song always made me happy.
⑬ My aunt made me a nice dress.
⑪は「me(O) = a doctor(C)」で、「両親は私を医者にした」、⑫も「me (O) = happy(C)」で、「この歌はいつも私を幸せにしてくれる」で、どちらも第5文型です。
第2文型のときの補語は、「主語」の性質・状態を表しますが、第5文型の補語は、直前にある「目的語」の性質・状態を表します。
⑬は、通常の世界では「me ≠ a nice dress」ですから、「私の叔母は、私にすてきなドレスを作ってくれた」という第4文型です。
ただし、ファンタジーの世界で、例えば主語が魔法使いであれば、「私をすてきなドレスにした」という第5文型かもしれません。
他に第5文型で使われる重要な動詞としては、
⑭ He left the window open.
⑮ Leave me alone.
⑯ I found the problem difficult.
⑭の open は形容詞で、「彼はその窓を開けたままにしておいた」。
⑮は「放っておいて」「ひとりにして」という、日常でよく聞くフレーズで、個人的には「ローマの休日」でオードリー・ヘップバーン演じるアン王女が泣き叫ぶセリフとして耳に残っています。
⑯は「私はその問題が難しいとわかった」という意味で、find の発展としては、
⑰ I found it difficult to solve the problem.
⑱ I found it difficult that he solved the problem.
形式目的語の「it」を置き、SOVC を完結させてから、it の内容を to不定詞やthat節で後ろにつけるという構文があります。
⑰は「私はその問題を解決するのは難しいとわかった」、⑱は「私は、彼がその問題を解決するのは難しいとわかった」という訳になり、どちらも第5文型です。
make it a rule to do (~することを習慣にする) という熟語も、同じ構文になります。
おわりに
文型を自分のものにするには、普段から品詞を意識することが肝要です。
例えば、open は、動詞で「開く(自動詞)、~を開く(他動詞)」、形容詞で「開いている」とか、stay は、名詞で「滞在」、動詞で「滞在する(自動詞)」など、2つ以上の品詞でよく使われるものが数多くあります。
また、多くの動詞が自動詞でも他動詞でも使えることは、常に頭に置いておかなければならないでしょう。初めは区別が大変でしょうが、言語は人間が使うものですので、柔軟な思考力で対応していきましょう。
レストランで交わされる次の対話は笑えるでしょうか。
客:Excuse me, can you call me a taxi ?
店員:Yes, sir. You are ‘a taxi’ !
常識で考えれば、客は「私にタクシーを呼んでください」と第4文型で頼んでいます。
それを店員が第5文型で「私をタクシーと呼んでください」と曲解し、「承知しました。あなたは『タクシー』です!」と答えたジョークです。
call は第4文型でも第5文型でも使えることがわかっていてこそ、成立します。
たくさんの動詞を正確に把握し、英語を楽しみましょう。