俳句の勉強をしてみませんか?|全学年/国語

勉強コラム

皆さんは「俳句」に興味はありますか?
学校の授業などでも1度は俳句を作る機会があるかと思います。
この記事では俳句の基本的なルールや歴史などを解説していきながら、その面白さについてご説明したいと思います。

目次

「俳句」って何?

現在みなさんが「俳句」と呼んでいる詩歌は、室町時代に大成された「連歌(れんが)」を起源としています。
連歌とは、短歌の上の句(五・七・五)と下の句(七・七)を交互によむものでしたが、滑稽や笑いを求める要素が強まり、やがて「俳諧(はいかい)の連歌」と呼ばれるようになりました。

江戸時代に入ると、最初の発句だけを独立させて十七文字でよむようになりました。(この形を「俳句」と呼ぶのは、明治時代の正岡子規(まさおかしき)からで、「俳諧の発句」からきています。)

俳聖として知られる松尾芭蕉(まつおばしょう)は一六八〇年ごろに登場し、それまでの遊戯的な俳諧とは違った「さび・しをり・軽み」などの芸術的な境地を求めました。
これを蕉風俳諧といい、芸術性の高い文学となりました。
日本の長い詩歌の歴史の上に「俳諧」という独自な庶民詩をうちたてた松尾芭蕉は、三百年以上もの時代を隔てて、今も私たちの心を打ち、多くの人々の共感を得ています。

「有季(ゆうき)」って何?

「俳句」の約束(規則)の一つに「有季」があります。
「有季」とは、季節を表す言葉(=季語)を句の中によみこむことです。

季語により、その季節のことが様々に連想され、短い詩の世界をより豊かに、深く味わわせてくれます。
季語は「春」「夏」「秋」「冬」「新年」に分けられており、さらに「自然現象」「動物」「植物」「行事・生活」などに細分されています。
季語のおもしろいところは、「春」というとレートな表現を用いなくても「雛祭り」という季語で「春」を表現することができるということです。

それぞれの季節ごとに代表的な季語を紹介しましょう。

「春」…立春・桜貝・蝶・卒業・入学・桜・柳
「夏」…梅雨・虹・鮎・蝉・花火・新茶・薔薇
「秋」…月・鰯雲・秋刀魚・墓参・稲刈・朝顔
「冬」…初霜・鮪・鴨・狐・風邪・節分・大根
「新年」…元旦・書初・門松・初夢・伊勢海老

有名な俳句一覧


ここからは、有名な俳句をいくつかご紹介します。
先述した「季語」を意識しながら読んでみましょう。

菜の花や 月は東に 日は西に
作者:与謝蕪村
季語:「菜の花(春)」

閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉の声
作者:松尾芭蕉
季語:「蝉(夏)」

柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺
作者:正岡子規
季語:「柿(秋)」

湯豆腐や いのちのはての うすあかり
作者:久保田万太郎
季語:「湯豆腐(冬)」

めでたさも 中くらゐなり おらが春
作者:小林一茶
季語:「おらが春(新年)」

季語の注意点

ただし、季語を入れれば何でもよいかといえばそうではありません。季語は一句に一つが原則です。
二つの季語を持つ句は「季重なり」と言って好まれません。

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」
という江戸時代の山口素堂(やまぐちそどう)のよんだ有名な句は「青葉」「ほととぎす」「初鰹」と夏の季語が三つも並んでいる異常な作風ですが、この句が名句として成立し認められているのは、初夏の新鮮さが五感で伝わるからです。
目の青葉、耳のホトトギス、口の初鰹と全身で夏に好まれるものを受け止め、その幸せが効果的に表現されているため良しとされているのです。

「定型(ていけい)」って何?

俳句のもう一つの約束に「定型」があります。俳句は基本的に五・七・五の十七音で構成されています。

最初の五音を「初句」次の七音を「第二句」最後の五音を「結句」といいます。
俳句の醍醐味はこの定型(十七音)にあるといっても過言ではありません。

俳句は、わずか十七音という限られた世界で無限の広さを表現することができるのです。
同じ定型詩である単価の三十一音よりも短いのです。

松尾芭蕉の
「荒波や 佐渡によこたふ 天の河」
の句には見上げた夜空に広がる天の川に「無限」が感じられませんか。

そのほかの表現技法として、わざと定型をくずし印象を深める「字余り」「字足らず」があります。
季語で紹介した「目には青葉」の句は「字余り」ですね。

まとめ

俳句には、これまで紹介してきた「有季」「定型」「字余り」「字足らず」という特色のほかにも多くの表現技法があります。

「比喩法」「体言止め」「倒置法」「反復法」「擬声語」「擬態語」など他のジャンルの文学作品にも用いられているものや「咳をしても一人」尾崎放哉(おざきほうさい)の句に代表される「無季自由律俳句」という「有季定型」にこだわらないものもあります。

誰でも創ることができるたった一七音から成る無限の世界にあなたも挑戦してみませんか。