冬の季語について|全学年/国語

勉強コラム

俳句を作る時などに使われる、季節を表す言葉・季語。
この記事ではその季語の中でも、「冬の季語」について例をあげながら解説しています。

目次

冬の季語の例


冬の季語は、日本の文化や自然を表現する上で重要な役割を果たしており、昔から俳句や短歌で広く使われてきました。
冬の季語には、以下のようなものがあります。
これらの季語は、冬の季節感を表現するために俳句や短歌などの日本の詩形で使用されます。

雪(ゆき):雪は冬の象徴であり、雪景色や雪が積もる様子を詠んだり、雪の美しさや寒さを表現するために使われます。

霜(しも):霜は寒冷な夜に地面や草木に発生するもので、冷たさを表現するのに使われます。

氷(こおり): 凍結した水や氷の存在が冷たさを表現し、冬の季語として詠まれます。氷の美しさや危険性が詠まれることもあります。

鴨(かも):冷たい冬の川や湖にカモが姿を現す光景が詠まれます。

狐(きつね):キツネは冬の季節になると毛皮を厚くし、寒さから身を守ることから、冬の季語として使われます。

冬桜(ふゆざくら):桜の木が冬にも花を咲かせる珍しい光景が詠まれます。

年の暮(としのくれ): 年末、年の瀬を指す季語で、年を越す時期の出来事や風景を詠む際に使われます。

年始(としはじめ):そのまま年の初めを指すことばで、新しい年を祝い、この1年を思う歌を詠むために使われます。他にも正月、新年、正月などのことばも使われます。

寒月(かんげつ):冬の月を表す季語です。寒く冷たい夜のさえわたって輝く月の光の美しさを読むのに適しています。

雪景色(ゆきげしき): 雪に覆われた風景や雪景色が詠まれます。雪の積もった山や川、町の風景が描かれることがあります。

こたつ:こたつは日本の冬季において温かさと家族の団欒を象徴し、季語として詠まれます。

冬の季語を使った有名な俳句


さてここからは、実際に冬の季語を使った有名な俳句や短歌を見ていきましょう。

「づぶ(ずぶ)濡れの 大名を見る 炬燵(こたつ)かな」(松尾芭蕉)
高位の大名が冷たい雨に濡れた状態で見られているが、それに対して炬燵(快適な暖房)の中にいるのか、あるいは快適さと冷たさの対比を示しています。

「雁(がん)なくや 小窓にやみの 明り」(正岡子規)
夜が明けずに窓から外を眺め、渡り鳥の雁が鳴く音を聞きながら雪明りの景色を楽しんでいる情景を詠んでいます。雁の鳴き声と雪明りが夜の静けさを照らし、詠み手に美しい風景を提供しています。

「いくたびも の深さを 尋ねけり」(正岡子規)
当時、不治の病とされていた肺結核を患っていた子規が病床で家の者に幾たびも(何度も)雪の深さを尋ねたという句です。感嘆の「けり」を使うことで自分の足で雪の様子を確認にいけずに尋ねないとならない複雑さやもどかしさが伝わってくる切ない句となっています。

寒月や 門なき寺の 天高し」(与謝蕪村)
寒い冬の夜に、門もない小さなお寺の上には澄み渡った空に月が光り輝いているという意味の句となります。小さなお寺と高く広がった冬の夜空との対比でその景色の美しさを強く思い起こさせる句となっています。

散るや おどけもいへぬ 信濃空」(小林一茶)
雪が降ってきて江戸などの雪の少ない場所だと冗談や軽口も言えるが、信濃(長野)の空ではそうは言っていられない。これは雪国での大雪の厳しさや大変さを伝える句となります。

「ともかくも あなたまかせの 年の暮れ」(小林一茶)
年の暮れ、年末に読まれた句となります。あなたというのは浄土真宗の門徒であった一茶なので阿弥陀如来を指し、亡くなった(仏になった)子供たちと一緒に1年を見守ってくださったという、1年を振り返ったものとなります。

このように冬の俳句や雪景色や冷たい空気、夜の静けさといった少し寂しい景色を楽しむものが多いですね。