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そもそも季語って何?
「季語」とは、俳句や連歌などの作品を作る際に、季節を表すために歌や句の中に詠み込む語句のことをいいます。
また、手紙を書く時などにも時候の挨拶などに用いられることもあります。
季語は奈良時代の万葉集が始まりと言われています。
季語が成立したのは平安時代後期であり、当時は150の季語があったそうです。
その後鎌倉時代の連歌、江戸時代の俳諧、明治時代の俳句とともに季語は増え続け、
現在、季語の数は5000あると言われています。
「甘酒」が登場する俳句をご紹介
ではここから、本題の「甘酒」という季語の話に戻りましょう。
まず、甘酒が登場する俳句を一句ご紹介します。
「あま酒の 地獄もちかし 箱根山」
与謝蕪村(よさ ぶそん)
この句は箱根の街道に存在する旅の難所 現在の大涌谷・小涌谷を甘酒の泡や湯気に見立てて
「もうすぐ甘酒にありつけるぞ!!」と険しい道のりを励ます旅人達への一句です。
この句の季語は「甘酒」です。
「甘酒=冬 だからこの句は冬に詠んだ俳句だな」
と思った方、ちょっと待ってください。
冒頭でも触れたとおり、実は冬の俳句ではないのです。
なぜ「甘酒」が夏の季語なの?
「甘酒って冬の季語でしょ?」という言葉が聞こえてきそうですが、実は甘酒は夏の季語なのです。
その背景には以下のような理由があります。
そもそも、甘酒が頻繁に飲まれるようになったのは江戸時代からです。
当時は、糖分、塩分、栄養豊富との評判から、滋養強壮、夏バテ対策として飲まれるようになりました。
今でも甘酒のことを「飲む点滴」なんて呼ぶことありますよね。
そんな理由から甘酒は冬の季語ではなく夏の季語になりました。
その他の意外な夏の季語
実は「甘酒」以外にも、
「え、この言葉が夏の季語なの?」
と驚くようなものも多く存在します。
ここでは、その一部をご紹介します。
・五月
・五月晴れ
・五月雨
・若葉
・新緑
・葉桜
・梅雨
・紫陽花
・鯉のぼり
・柏餅
・ちまき
これらは全て夏の季語です。
現代人の感覚だとどれも夏の季語とは思えないものばかりですよね。
どうしてこれらが夏の季語なのかと言うと俳句の世界では旧暦を用いているからなのです
江戸時代まで、日本の暦は旧暦でした。
しかし今は明治時代に改暦されて新暦を使っています。
夏の季語は、現在の暦では、5・6・7月になります。
ちなみに夏の季語のようでいて実は秋の季語というものには以下のものがあります。
・七夕
・天の川
・短冊
・お盆
・お墓参り
・送り火
・朝顔
まとめ
いかがでしたか?
この記事では、「甘酒」を中心に「夏の季語らしくない夏の季語」を紹介してきました。
もちろん、この記事でご紹介したもの以外にも、夏の季語はたくさんあります。
みなさんもこれを機に夏の季語に触れてみてはどうでしょうか。
最後に、「俳句の日」というものをご紹介します。
それは毎年、8月19日です。
8(は)1(い)9(く)からこの日が俳句の日になりました。
8月といえば、学生の皆さんはちょうど夏休みで、時間に余裕がある方も多いと思います。
その時間を使って、ぜひ、一句だけでも俳句を作ってみてください。