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人が怖く、学校に行けない生徒さん
ある年の10月、不登校だった中学2年生の女子生徒を担当しました。
この生徒さんは人前で極度に緊張をしてしまう性格でした。
その素振りを見せまいと我慢したり気持ち的に無理をしてしまう事が原因で、体調を崩したり気分が悪くなったりするような生徒さんでした。
お母様からは、
「ずっと我慢してきたのか中学1年生までは普通に学校や塾へも通っていた」
「しかし2年生へ上がる前にコロナ禍の影響で一斉休校が始まり、休みが明けた後に学校が始まるも、人に対する恐怖が大きくなってしまい学校や塾へ行けなくなってしまった」
といったお話を伺いました。
実際、休校が決まり、学校へ行かなくてもよくなった期間はホッと安心したのか、表情や生活がいつもと違って生き生きしていたそうです。
それでも、まわりに迷惑をかけまいと無理をする性格なため、頑張って学校へ行こうと試みて週1~2回ほどは通えたそうです。
お医者様にも診てもらっていて、薬を処方してもらったり、別室登校あるいは早退させてもらったり、学校のテストは自宅で受けたりなど色々と工夫していたとのこと。
10月、学校へは完全に行かなくなってしまっていましたが、アルファの指導がスタートしました。
少しでも克服するため、アルファを始める
なぜ人と接することに恐怖を感じる子に家庭教師をつけたのか?
それは、学校に行けていない分の授業の補填のためでもありましたが、何よりも1対1の指導を通して人に対する恐怖感を少しでも克服してほしいというご両親のご意向でした。
ご両親ともお子さまの不登校の状況には理解を示されていて、いくつかの他社の体験指導を受けながら本人の意思を第一に最終的にはアルファを選んでいただきました。
最初はお母様も同席しながら、数回の指導は普通に受けられていました。
その間、生徒さんの様子には十分な注意を払い見守っていましたが、緊張で顔や行動に出る異常な様子は全く見られませんでした。
もちろん緊張や恐怖を我慢していたのもあったと思いますが、マスク越しでも分かるほどの笑顔が見られることもありました。
ご本人も克服することには積極的で、少しでも緊張を和らげようと指導中に
「軽く音楽を流しても良いですか?」と提案してくれたりして、指導中はオルゴールのような音楽をかけながら指導していました。
最初のうちはお休みすることも
初回指導から1ヶ月過ぎた頃、通常通り指導していたところ生徒さんから
「先生、ちょっと出てっていいですか」と言われ、肯定すると部屋から退出してしまいました。
ためらいもあったと思いますが、以前からお母様に
「気分が悪くなった時はちゃんと言うように」と声掛けしていただいていたこともあり、しっかり言ってくれました。
その日は指導を中断し、また来週にということになりましたが、その後、医者からの助言を元に1ヶ月間アルファの指導をお休みすることになりました。
私は今回の事が起きた時、今まで普通に指導を受けられていたという事実から、少し驚いてしまいました。
常日頃から生徒さんには、物事を強制させないような優しい声掛けや時に笑いがあるような楽しい指導を心掛けて臨んでいましたが、それで必ずしも生徒さんが指導を受け続けられるわけではないことを改めて認識しました。
コミュニケーション頻度を上げ、お互いを理解する
私はこの時期に「このままではいけない」と感じ、まずは上司や先輩講師に相談してアドバイスをもらいました。
また、自分でも不安障害や対人恐怖症、あがり症などについて改めて学びなおし、情報を取捨選択しながら適切な接し方について再度考えました。
結論としては、「少し違った形や角度からコミュニケーションを取ってみる」ということでした。
不登校生の1つの特徴として、自分で勉強するにも新しい分野や苦手なものに関しては中々手がつけられないということがあります。
そこで、早い段階で本人にLINE登録をしてもらい、分からない問題を写真で送ってもらって解説をしたりなど、自宅学習のサポートをしていました。
今まで、問題の解説時のみ連絡を活用していましたが、休会時からさらに密にコミュニケーションを取ることにしました。
ここで特に意識したのが「勉強だけでなく、私自身のパーソナリティをもっと知ってもらう」ことです。
その生徒さんは、普段から家族や親戚に対しては全く緊張する様子は無いという事でしたので、LINEのような少し離れた距離からコミュニケーションを取り続けることで少しずつ親近感を持ってもらうことが効果的ではないかと考え、連絡頻度を上げていきました。
結果的に、それが生徒さんのできたを増やすことに繋がりました。
徐々に学校へ行けるようになり、受験も合格!
そうしていくうちに、年明けから指導が再スタートできるようになりました。
指導中は、ちょっとした会話からも私自身のことを時折はさんでいくようにしました。
加えて、生徒さんからはLINE上でも対面でも勉強法についての質問が多かったので、質問に対して様々なアドバイスもしていきました。
こうしたやりとりを続けて数ヶ月経ち、気付けばあれから指導中に気分が悪くなることが一切無くなった上、本人から学校や資格、やる気など様々な質問や相談が増えていきました。
4月、中学3年生としての学校も始まった時には、週3回ほどは学校に行けるようになっていました。
ただ、話を聞いてみると、教室に入るのが怖いそうで何回か相談も受けていました。
ご両親や学校の先生にしても、その部分に関しては理解や支援をしていたので、焦らずゆっくり気持ちを整えましょうということで無理はさせていませんでした。
そうしていくうちに、大事な受験直前期である冬を迎えました。
継続してコミュニケーションを取り続けていたためもあってか、この頃には毎日学校へ行けるようになっていました。ご本人からも毎日学校に行っているという報告をしてくれました。
最終的には不登校だった頃も忘れるぐらい、他の生徒さんと変わらない、むしろ、一番積極的に指導を受けてくれる生徒さんになっていました。
まわりの普通の受験生同様の受験対策もできて、受験も全日制の私立単願の高校へと無事合格することができました。
細かなコミュニケーションが、生徒さんのできたを増やす。
振り返ると、この生徒さんは家庭教師を始めてからかなりの複雑な気持ちと心の負担があったと思います。
こちらがそれを和らげるつもりで、無理はしなくても良いよと優しく声をかけたり、楽しい授業を心掛けていました。
しかし彼女自身無理をする性格なため、それが全て裏目に出てしまい、
「周りから心配されている」「自分なんかのために」と逆方向に捉えられてしまったこともあったかと思います。
しかし、それでも彼女自身の中で「頑張らないと」という思いが強く、積極的に質問をしようとする様子が多々見られました。
実際、勉強法については全て教え尽くしたぐらいの質問をしてきてくれていました。
その彼女の頑張りを上手く受け止めてあげられたことで、信頼していただくことができ、後々の良い状態につながったと思っています。
また、その質問がしやすくなるような環境づくり、それは、お互いをよく知ってもらうことを意識したコミュニケーションを取っていったことで成立したことだと思っています。
今回の指導を通して、うまく彼女の中の「できた」を増やすことができ、それが結果に繋がったと感じています。
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こちらの記事の監修者
浅井保(あさい たもつ)
・北海道大学文学部卒
・家庭教師のアルファ 講師部長
・山手中央高等学院 学院長
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長、および同社の運営する通信制サポート校・山手中央高等学院の学院長を兼務しながら講師として指導にも従事。