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不登校の現状
いきなりですが皆さんは「不登校」というとどういう印象を持たれているでしょうか。
筆者(50代)の世代だと、もしかすると「たるんでる」や「怠けている」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方も昔を思い出してみて下さい。勉強・テスト・様々な学校行事、そして人間関係…。
相当なストレスを抱えて登校したり、親が「”学校行かなくていいよ”と言ってくれないかな~」と思ったりした事があるのではありませんか?
2020年度において、全国の小学生の長期不登校者(30日以上欠席)の割合は1%、中学生ですと4%を超えています。
これは25人に1人ですから、単純に言って全国の中学校の全てのクラスに1人、長期不登校の生徒さんがいる数字です(文部科学省データより)。
データに出てこない「不登校ぎみ」の子は更に多いはずです。
もはや不登校は「特別なこと」ではありません。
私も多くの不登校や不登校経験で学習が遅れてしまった生徒さんの学習指導を担当させて頂きました。
不登校は”怠け”でも”いい加減”でもない
私が担当させていただいた不登校(経験者を含む)のお子さん達の多くは決して「怠け者」でも「いい加減」な子達でもありません。
音楽、絵を描く事、英語以外の外国語の勉強等、打ち込めるものを持っており、それに関しては私の及びもしない豊富な知識と愛情を持っているのです。
授業の合間に話を聞くと、実に楽しそうにその魅力を話してくれるのです。本当に「怠け者」ならそんなことはありませんよね。
そこで私はそんな生徒さんの担当になると、まずは「できるようになった」「できる事が増えた」経験を沢山させてあげられる授業をする事を心掛けています。
中学校3年生の数学を例として説明致します。
まず中学校1年生内容の正負の計算と文字式計算ができるかを確かめながら指導します。中1教科書ですと、この後は関数・図形と進みますが、私はそのまま中2・中3の計算という続きといえる単元を指導していきます。
これらは計算の進め方において手順が似ているので、「できる事」を生かせば比較的簡単にできます。
この時、私が指導時に意識している事が2つあります。
まず1つは生徒さんが自信を持てる様に、小さな点でも褒める事です。
たとえ答えとしては間違っていても「プラスマイナスの決め方は合っていたよ」「手順は全部正しかったよ」等、生徒が「自分は進化している、できる所が増えている」と思ってもらえるようにするのです。
まさに、”できたを増やす”ということですね。
2つめは「自分は周りの子達に追いついてきている」と思える様にする事です。
正直申しまして、中3の子が1年生の教科書から順番通りにやっていったら、週1・2回の私共家庭教師の授業だけで追いつくのはなかなか難しいことです。
自分が少しばかりできても、周囲の子はその間も学校で日々新しい事を学んでいる事は、生徒さんも分かっていますから、「これでは追い付けない」と思うでしょう。
ですからある単元だけでも「自分は周りの子に追いついた」と思ってもらい、自信と向学心を持ってもらいたいのです。
実際、ある保健室登校をしていた生徒さん(中3)は、私との授業で自信がついたらしく、保健室で定期テストを受けたところ、数学で学年平均点を上回る事ができたのです。
「テスト後に初めて保健室に行ったら担当の数学の先生が待っていて、そのことを教えてくれた時は嬉しかった」
と聞いて、私も「家庭教師をやっていて良かった」と思いました。
また別の生徒さん(中2)は
「学校に行かなかった間の勉強が分からなくなっていて怖い」
と言って、更に不登校が続く悪循環に陥っていました。
その子も少しずつ自信を取り戻し、数か月後には学校に行けるようになりました。
何であっても、学ぶこと自体が大切
こうして不登校の生徒さん達を振り返ってみると、勉強そのものが嫌いで学校に行かないのではなく、学習ペースや人間関係が原因という事が多い様です。
そんな中で我々にお声がけ頂いたご家庭は、お子さんに寄り添い、本当は学校に行って欲しいと思うときがあっても、なるべく口に出さず、支えていらっしゃる場合が多いと感じます。
私個人としても、学校に行けないなら無理に行かせて追い詰めてしまうより、行かないという選択もあるのではないかと思います。
ご家庭の中で何か約束を作り(朝は決まった時間に起きる、お風呂掃除等何か家事を担当する)、学校の時間で何かを身につけ、好きな事を伸ばす事にあててみてはいかがでしょうか。
その上でできれば、学校の内容も自分のペースでいいですから勉強して欲しいです。
人生やりたいことだけやれる人は大変まれです。
「やりたくないことであってもやらねばならない」…そんな時にどう取り組むかです。学校の勉強をするのはその練習であり、また単純に義務教育の内容は社会生活を送る上で必要です。
不登校ではありませんが、サッカーが大好きで勉強そっちのけの生徒さんがいました。
「サッカーがうまければいい」と言うので、
「将来日本代表の試合後のヒーローインタビューで言いたい事が言えなかったり、シーズンオフにクイズ番組にでて変な答えを言っておバカ選手…なんて言われたらどうするの?」
と言ったら少し真剣にやる様になってくれました。
学校には行けない、でも勉強はしたい、しなくてはいけないのはわかってる…そんなお子さんがいらっしゃいましたら、ぜひ少しずつでも、好きな科目だけでも取り組んでみて下さい。日々の生活の中で必ず学んだ事が良かったと思う日が来ると思います。
そしてもし、勉強のことで助けが必要であれば、私たち『家庭教師のアルファ』にお気軽にご相談ください。
経験豊富なプロ家庭教師がお子さまに寄り添ながら、優しく丁寧に学習をサポートいたします。
こちらの記事の監修者
浅井保(あさい たもつ)
・北海道大学文学部卒
・家庭教師のアルファ 講師部長
・山手中央高等学院 学院長
2008年に『家庭教師のアルファ』のプロ家庭教師として活動開始。
現在、株式会社アルファコーポレーション講師部部長、および同社の運営する通信制サポート校・山手中央高等学院の学院長を兼務しながら講師として指導にも従事。