目次
絶対値とは?
絶対値とは、ある数の値が0からどれだけ離れているかを表すものであり、次のように定義されます。
・0もしくは正の数aについて、|a| = a
・負の数aについて、|a| = -a
これはどういうことかと言うと、例えば、
|3| = 3、
|-2| = 2
のようになります。
絶対値の性質
絶対値には、以下のような性質があります。
1.|a| ≥ 0 である。
2.|a| = |-a| である。
3.|ab| = |a| |b| である。
4.|a+b| ≤ |a|+|b| である(三角不等式)。
1つ目の性質は、どんな数の絶対値も0以上であるということを表しています。
2つ目の性質は、絶対値は符号によらず、絶対値の値は同じであるということを表しています。
3つ目の性質は、2つの数の積の絶対値は、それぞれの数の絶対値をかけたものになるということを表しています。
4つ目の性質は、2つの数の絶対値の和は、それらの和の絶対値よりも大きくならないということを表しています。
絶対値を含む方程式の解き方
絶対値を含む方程式の解き方は、2つの場合に分けて考えます。
|式| = 定数の場合
|式| = |式|の場合
■1つ目(|式| = 定数の場合)の場合
1つ目の場合では、次のように式を分けて考えます。
・式 ≥ 0 の場合:式 = 定数
・式 < 0 の場合:-式 = 定数
すなわち絶対値を含む辺が正の数か負の数なのかを分けます。
【例題1】
|2x + 1| = 5
まず、2x + 1 ≥ 0の場合を考えます。
2x + 1 ≥ 0
2x ≥ -1
x ≥ -1/2
となり、この場合
2x + 1 = 5
2x = 4
x = 2
となってx ≥ -1/2を満たすので解として正しいと言えます。
次に、2x + 1 < 0の場合を考えます。
2x + 1 < 0
2x < -1
x < -1/2
となって
-(2x + 1) = 5
-2x - 1 = 5
-2x = 6
x = -3
こちらもx < -1/2を満たすので解として正しいと言えます。
よって、解はx = -3、x = 2である、ということになりますね。
■2つ目(|式| = |式|の場合)の場合
2つ目の場合(|式| = |式|)では、以下のように式を分けて考えます。
それぞれの絶対値の中身の正負が切り替わる値を探して場合分けをして解きます。
【例題2】
|x + 1| = |x – 3|
|x + 1|はx = -1で正負が変わります。
|x – 3|はz = 3で正負が変わります。
よって、場合分けは
x < -1、-1 ≤ x ≤ 3、3 < xで場合分けできます。 x < -1の時 絶対値の中身はどちらも負の数となるので -(x + 1) = -(x - 3) -x - 1 = -x + 3 -1 = 3 となり等式が成立しないので解なしとなります。 -1 ≤ x ≤ 3のとき こちらは左辺が正、右辺が負となりますので (x + 1) = -(x - 3) x + 1 = -x + 3 2x = 2 x = 1 となります。 3 < xのとき 両辺が正の数となり (x + 1) = (x - 3) x + 1 = x - 3 1 = -3 となり解なしとなります。 以上より|x + 1| = |x - 3|の解は x = 1となります。
絶対値を含む不等式の解き方
絶対値を含む不等式の解き方も絶対値の中を場合分けをして考えます。
【例題3】
|x – 2| < 7
まず、x – 2 ≥ 0のとき、つまりx ≥ 2のときの場合を考えます。
左辺は正なので
x – 2 < 7となり x < 9 よって2 ≤ x < 9 となります。 次にx - 2 < 0のとき、つまりx < 2のときは左辺が負となるので -(x - 2) < 7 -x + 2 < 7 -x < 5 x > -5
よって
-5 < x < 2
となります。
この2つの範囲をまとめると
-5 < x < 9となります。
まとめ
絶対値とは数直線上で見て0からの距離であり必ず0以上の値です。
絶対値を含む式の計算は、数や式の値が0より大きいか、または0より小さいかを考えて場合分けで計算します。
絶対値のついた式は正の数についてはそのまま、負の数については-1をかけて正の数に変換すると考えることができます。