目次
1. 記憶の定着には何が必要?
「学校や塾の授業を聞いて、すぐにその内容を覚えられた」という方は稀でしょう。それは、これらの教育機関が一方的な授業、すなわち「情報のインプット」に多くの時間を使うからなのです。人の記憶は、ただ覚えようとするだけではあまり定着しません。
しかし、問題を解いたり、誰かにその内容教えたりする「アウトプット」の機会があれば、記憶は驚くほど身に付いていきます。
コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツは、小学3年生から中学2年生までの100人以上の子供を対象に「人が物事を覚えるうえで、記憶に定着しやすいインプットとアウトプットの比率は何割か」を求める実験を行いました。その結果、上記のグラフのように、記憶を定着させるためのインプット・アウトプットの黄金比は3:7であるという結論に至っています。
もう一つ有名なものとして、教育学者エドガー・デールの著書、Audio-Visual method in teaching (学習指導における聴視覚的方法)を基とする考え方があります。
これによると、「講義を受ける」や「本を読む」といった受動的な学習方法よりも、「実践する(問題を解く)」「他者に教える」といった能動的な学習の方が、はるかに定着率が良いとされているのです。
このように、人の記憶は、ただ知識を入れ込むだけでは定着せず、自らその知識を生かした”体験”をすることで、初めて定着するのです。
これらの「体験(アウトプット)」最も体現できるのが、家庭教師なのです。塾などの教育サービスと比べ、家庭教師は「双方向・対話式」の指導ができるので、学習効率が違います。
「塾で結果が出なかったけど、家庭教師を始めてから驚くほど成績が上がった」
「ずっと苦手だった科目が、一気に得意科目になった」
「諦めていた志望校に合格できた」
このような声が多いのは、上記のような仕組みが関係しているのです。
特にアルファの指導では、プロの家庭教師がお子さまと緻密なコミュニケーションをとりますので、質の高いアウトプットの経験ができます。その結果、驚くほど「記憶の定着」がなされるのです。
2. やる気が出るメカニズムとは
これまで「記憶の定着」に関するお話をさせて頂きましたが、いくら効率の良い勉強法を知っていても、そもそも「やる気」が出なければ意味がありませんよね。人のやる気はどこから湧くか、ご存知でしょうか。
実はやる気が出るメカニズムは、科学的に解明されています。それは、脳の大脳辺縁系の中にある「側坐核」という部分が刺激すること。これにより、ドーパミンとよばれる脳内物質が分泌され、やる気が起こるとされています。しかし、この側坐核は厄介で、「やる気を出そう」と思ってもなかなか刺激されません。
それではどうすれば良いか。それは、「実際に行動すること」です。人間は、とにかく行動を始めることで“作業興奮”とよばれる状態になり、側坐核が刺激され、やる気が出ます。
皆さまも「面倒なことだけど、いざ始めたらどんどん集中してきて、気付いたら最後までやりきっていた」などといった経験はありませんか?これが、側坐核が刺激されたことによる効果なのです。
そしてこれは、勉強にも応用できます。つまり、勉強のやる気を引き出す方法は、「実際に勉強をし始めること」なのです。自学自習の習慣さえつけることができれば、自然とやる気は引き出され、そのやる気は結果に繋がります。
家庭教師の良い点は、指導をご自宅で行うため、自分の机で勉強する「自学自習の習慣」を付けやすいことです。
特にアルファは、ご自宅での学習習慣をつけることに特化しています。たとえば、アルファ独自の「週間学習計画表*」を使う管理システム。毎回の指導時にこれを用い、日々の勉強を週単位で管理するので、自然と学習習慣が身に付き、やる気が向上します。
このように、「家=勉強をするところ」といった意識が身につくような指導・学習管理を行うことで、作業興奮状態になりやすく、学習意欲が継続するのです。
3. 『小さな成功体験』の重要性
もう一つ、人のやる気を高める効果的な方法があります。それは「即座に評価する」ことです。人は何か良い行動をした際、その報酬が即時的であるほどモチベーションが高まることが証明されています。これは「好子出現による強化」といって、応用行動分析学の原則の一つです。
つまりお子さまが何かの課題をクリアしたとき、すぐに褒めてあげることが大切なのです。
たとえば、お子さまがこれまで解けなかった数学の問題を解けたとき、それがテストの点数に反映され、成績が上がった際に褒める…では遅いのです。問題が解けた瞬間に褒めなければ、モチベーションは向上しないのです。しかしこれは、学校はもちろん、塾でも難しいことです。
家庭教師の指導は、常に教師が傍に座ってお子さまの様子を見守るため、この”小さな成功体験”を繰り返し経験させることが可能です。その結果、お子さまの中で自己肯定感が高まるとともに、勉強へのモチベーションも向上します。
4.家庭教師と塾の違い
家庭教師を始めることをお考えの方のなかには、塾との比較検討をされている方も少なくありません。ここでは、家庭教師と塾の違いを詳しくご紹介いたします。
両者には、それぞれ以下のような特徴があります。
授業形態について
塾では1対複数の集団授業であることがほとんどです。「個別指導」を謳っている塾でも、完全マンツーマンの指導を受けられるところは少なく、先生1人に対し生徒2~5人で授業を受けるケースが多いです。
一方、家庭教師は基本的に、1対1の完全個別指導です。
授業の進め方について
基本的に、塾では画一的なカリキュラムに則り、クラスの全員が同じ授業を受けます。一定以上の学力がある生徒は授業についていけるのですが、戻り学習が必要な生徒にとっては、塾の授業はあまり意味がありません。
一方、家庭教師は生徒の学習ペースに合わせて授業を進めるので、わからない科目・単元はいくらでも前に戻って勉強することができます。
また、「この生徒はここでつまずいている」といったポイントを見つけるのが早いのも家庭教師の特徴です。特に数学や英語といった積み重ねが重要な科目では、このポイントを見つけ出す早さが非常に大切です。
質問のしやすさについて
講師1人につき生徒が複数いる塾の授業では、どうしても質問できる機会が限られ、わからないところがそのままになってしまいがちです。特に多くの生徒がいる集団塾などの場合、皆の前で質問するのが苦手な人は、授業そのものが嫌になってしまうこともあります。
一方、家庭教師は基本的にマンツーマンですので、質問がしにくい雰囲気はありません。1対1の授業では先生と打ち解けるスピードも速いので、「最初は緊張していても、気付けばすぐに質問できるようになっていた」などというエピソードも珍しくありません。
なにより、個別指導では先生が生徒1人にかけられる時間が圧倒的に多いので、質問に対してより分かりやすく、より丁寧な回答を行うことができます。
宿題について
宿題についても、塾と家庭教師では大きな違いがあります。先述のように、塾ではほぼ固定されたカリキュラムに則って授業が行われるため、当然宿題もそれに即したものになります。つまり、学校と同じように全員に同じ宿題が出されるのです。授業についていけていない生徒にとって、これは大きな苦痛になる場合があります。一方、家庭教師の場合、それぞれの学力に合った範囲・量の宿題が出されるので、無理なく学習を進めることができます。
周囲の環境
学習環境は、生徒の学力に大きな影響を与えます。塾の場合、当然ですが他の生徒と一緒に勉強するので、自然と競い合うような環境が生まれます。競争心が強い生徒にとっては、「ライバルと競える」という点はメリットになるでしょう。ただ、そのような生徒は全体の20%程度と言われています。多くの生徒にとって、この環境はプレッシャーになるのです。中には、それが大きなストレスになり、塾を辞めてしまう生徒もいます。一方、家庭教師は周囲に他の生徒はいないため、自分のペースで勉強することができます。その分、自分である程度学習習慣を意識する必要がありますが、大きなストレス無く勉強に向き合えるという点は、多くの生徒にとってメリットとなります。
先生について
塾では、時間や科目ごとに割り当てられた先生が授業を行います。よって、生徒が先生に対し「相性が合わない」「教え方がわかりにくい」などのネガティブが感情を持ったとしても、すぐに先生を変えることはできないことがほとんどです。一方、家庭教師は生徒との相性が考慮された先生が慎重に選ばれ、万が一合わなかったとしても、すぐに交代してもらえることが多いです。
場所について
「学習場所がどこか」という点は、生徒の生活スタイルに大きな影響を及ぼします。当然ですが、塾では決められた校舎(教室)があり、生徒はそこに通う必要があります。部活や習い事で忙しい生徒にとっては、通塾の時間は非常に”もったいない”時間となってしまいます。また、夜遅くに小さなお子さまを一人で塾に通わせるのは不安…という保護者さまもいるでしょう。
一方、家庭教師はほとんどの場合、自宅で勉強を行いますので、時間を効率よく使えます。また、安全性も高いのが家庭教師の特徴です。
家で指導を受け、宿題に取り組んでいると、自然と「家で勉強するクセ」がついてきます。これが、家庭教師の大きなメリットなのです。
5.受験対策は一人ひとり違う
ここまで、「効率の良い勉強法」や「やる気を引き出す方法」「塾との違い」などに触れながら、家庭教師のメリットについてご紹介してきました。これらを抑えた後は、いよいよ受験に関するお話です。
皆さまは、「志望校に合格するためには、皆と同じ内容をより多く勉強し、テストで良い結果を出し、成績・偏差値を上げる」ことが重要だと考えていませんか?その考え方は必ずしも間違いとは言えませんが、正解でもありません。
なぜなら、現在のお子さまの状況や志望校によって、受験対策は一人ひとり異なってくるからです。
受験は時間との戦いです。そこで重要になってくるのは、現在のお子さまの得意科目、苦手科目を正確に把握し、それを志望校の「合格最低点」と照らし合わせ、もっとも効率的な学習スケジュールを組むことです。例えば、数学が苦手なお子さまの場合、必ずしも数学を重点的に勉強することが正解とは言えません。志望校によっては、数学の勉強は最低限にとどめ、その分得意教科を伸ばすことに時間を割く方が、合格の可能性が高くなることもあります。
そして、一人ひとりの学習状況や志望校に合わせた個別の受験対策を行えるのが、家庭教師なのです。
また近年では、入試問題の出題傾向にも変化が見られます。解答パターンを覚えていれば解ける問題が少なくなり、記述式(説明式)のような「その単元を深く理解し、他者に説明できるレベル」に達していないと解けない問題が増加しているのです。
ここでも家庭教師は、マンツーマン指導の強みを生かせます。塾や予備校と比べ、家庭教師は先生が生徒に割ける時間が多いため、より深いレベルの指導が可能です。つまり、普段の指導で身につく知識量に差が出るのです。その結果、家庭教師の指導を受けている生徒は、応用問題に強くなる傾向があります。実際、近年の個別指導を行う教育サービスの受験合格率は上昇しています。
これからの時代の受験では、それぞれの科目の根本的な理解が必要とされる問題が、さらに増加するでしょう。それに最も的確に対応できるのが、家庭教師です。